人を幸福にさせるのはいつでも「勝利」というわけではないようです。
ひとつの負けが大きな、そして長きにわたっての喜び・幸福につながることもあります。
そんな例を教えてくれたのが、幸福学の研究者エド・ディーナー博士の幸福学白熱教室での話です。
ディーナー博士がインドのコルカタの貧民街で、一人の少女プータールと知り合った時のことです。
自分は看護師になりたいと言っていたプータールに、博士が「どうして」と聞いたら、
プータールは自分がとても足が速いからと言いました。
なるほど、
足が速いから、たくさんの患者さんの
面倒をみてあげられるな!
な~んて子供相手と思ってたディーナー博士が、プータールに競争を挑みました。
博士が言うには、博士は子供と競争して負かすのが好きなんだそうです!!
そんな競争の一コマの話でした。
少女プータールとの競争
ディーナー博士の言葉
「一番遠い、あのタクシーのところまで競争しよう」
で始まった二人の競争でした。
そして、
「ようい、スタート。
横を見ると、プータールがいない!
土煙だけ!」
プータールは本当に速かったのでした。
ゴールしたプータールは 振り向いて
ヤッタ!!
それはもう、幸せそのものでした。
博士を難なくやっつけたプータールは、そのまま両親のところに駆け寄りました。
両親が誇らしげに娘を抱きしめると、スラム中から拍手と歓声が沸き起こり、見物人もタクシーの運転手も乗客も、みんながプータールを称えました。
あたり中に幸福感が満ち溢れ、ディーナー博士までとても幸せでした。
ディーナー博士は負けたのに、とても幸せな気分になったのでした。
でも博士にとっての幸福は、この時だけのことではありませんでした。
博士が講義の中でこの話を生徒のみんなに話すことで、再び幸福感を味わうことになったのです。
次は博士の言葉です。
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私は、心の中にある幸せの井戸から、地球の反対側で体験した
10年以上前の話を取り出してきて、
あの日と同じ感情を再び味わいました。
今でも、あの時の幸福感を呼び起こすことができます。
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そして、博士自身が幸福感を呼び起こしただけでなく、聴いていたほとんどの人たちも小さな心の高まりを感じたようでした。
そう言えば、幸福学の講義の中で
「物にお金を使うよりも
経験にお金を使う方が
幸福度は高まる」
という話もありました。
なるほどと思わせてくれるお話です。
ディーナー博士、最後にこう結んでくれました。
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幸福は 社会的なネットワークを通じて
広がっていく力がある。
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参考
(幸福度は自然に戻る)