賢者の贈り物の賢者の意味を知る

クリスマスになると読まれる物語に

  「賢者の贈り物」

がありますね。

この物語は、なかなか心が温まる物語なんですが、タイトルは「賢者の贈り物」となっています。

でも、読み進むと何となく

   あまり賢者では
   ないんじゃないか?

なんて感じたりもしてしまいますね。

でも、物語の最後は

  「二人のような人間は
   最高の賢者である」

とされています。

この二人がどうして賢者だったんでしょうか?

読み解きに挑戦してみたいと思います。

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賢者の贈り物の背景について

突然ですが、この物語のタイトルは

  「賢者の贈り物」
  「THE GIFT OF THE MAGI]

で、ここでの賢者とは

  「賢者」= Magi

のことで、特に「賢い」という意味の賢者ではありません。

イエス・キリストの誕生を祝うため、東方の三博士が贈り物を持ってイエスのもとにやってきて、これが最初のクリスマスの贈り物とされたエピソードからの話で、博士あるいは聖者のことを意味します。

ただし、物語の最後に結ばれている

  「最高の賢者である」

の賢者は

  「賢者」 = Wisest (賢い)

で、本当に賢いという意味です。

賢者の贈り物・あらすじ(ネタバレ)

物語はとても貧しいけれども、互いにとても愛し合っている二人のクリスマスのプレゼントをめぐる物語です。

まもなくクリスマスだというのに、妻デラは愛する夫ジムにクリスマスのプレゼントを買うお金がありません。

妻デラは数か月物間、夫ジムに何か素敵なものを買ってあげようと計画し、とても質素に過ごしながら節約しお金を貯めてきたはずなのに、お金は本当に買いたいものを買うにはとても足りませんでした。

妻デラは、ジムにとってとても大切な「金時計」の鎖を買うため、決心をしました。

デラにとってとても大切なもの、

  「自慢の美しく長い髪」

を売ることにしました。

金の鎖はジムの持つ金時計によく似合う、とても素敵なものでした。

ジムの喜ぶところを想像しながら家に帰ったのですが、家について冷静に物事を考えると、自分のした愚かな行為を後悔し、だんだん不安になるのでした。

そして、ここで解説が…

  「愛と気前のいい贈り物

   この二つが一緒になると

   簡単には消せない

   深い傷跡を残すものなのだ」

その通りに、妻デラはこんな心配をし始めます。

  「ジムが私を殺さないとしても

   もう一度見る前に彼は私のことを

   お金のために歌ったり踊ったりする

   女の子みだいだ、って言うでしょうね」

そして、いよいよ夕食の時間にジムが部屋に入ってくるときは、鎖を手にしながら一瞬、デラは蒼白になってしまいました。

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でもその時、実は夫のジムもデラへのプレゼントのために、自分の大事な金時計を売ってしまっていました。

デラは店のショーウインドーで目にして、ずっと気に入っていた

   宝石のついた美しいくし

を欲しいと思っていたのですが、ジムは自分の金時計を売ったお金で、デラの自慢の長い髪のための美しいくしをプレゼントに買っていたのでした。

ジムは微笑みながら

  「デラ、クリスマスプレゼントは、しばらくそのままとっておこうよ」

と言いました。

二人はどうして賢者だったのか

作者はこの出来事のことを、

  「Magiは貴重な贈り物を持ってきたが、

   答はその中にはなかった」

と表現していました。確かに、お互いのプレゼントが完全にすれ違ってしまいましたね。

そして作者は、この二人のことを、

  「愚かな若い二人」

と言っています。でも同時にこの物語は次のように結ばれています。

  「二人は最高の賢者(Wisest)」

こちらは「Wisest」、賢いという意味の賢者です。

これはどう理解したらいいのでしょうか?

考えられることはいくつかありますね。

  ・プレゼントしたものは残っている、
    失ったわけではない

  ・互いに相手にとって大事なものは
    何かを、真剣に考えていた

  ・互いに相手をいたわっている
    (責めたりしていない)

  ・二人が同時に愚かなことをした

二番目の、互いに相手の事をよく知り、相手の欲しいもの、大事なもののことをとてもよく考えていた、ということが大きかったかな、と思えます。

でも、

   東方の三博士(賢者)が贈り物を
   持ってイエスのもとにやってきた時、
   イエスはまだ生まれたばかりです

つまり、イエスの未来を祝ったということですね。

そういう意味で、この愚かな若者たちは、いまは愚かに見えますが、実は素晴らしい未来を引き寄せているとも言えます。

これらの贈り物は、二人の温かい想い出とともに、いずれ間もなく

   何にも代えがたい

   宝物になる

ことだろうと思います。

一生涯のお互いの素晴らしい宝物を贈りあった二人は、確かに賢者だったのかもしれませんね。

・・・

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