クリスマスキャロル、スクルージ改心の理由は

強欲で頑固者で欲張りでお金の亡者、などと冷たくてどうしようもないイメージの初老の老人、「エベニーザ・スクルージ」が、最後には改心して、

雇い人のボブ・クラチットに優しくしたり、恵まれない子供たちのために

寄付をしたりと、全く人が変わってしまいました。

こんな話を聞くと、

  「ちょっと脅かされたからって、

   ビビッていきなり改心する

   なんて、ありえねー!」

なんていう意見もあったりしますよね。

実は私も同じことを感じていたんです。

でも、これは物語です。

いろんな考え方、解釈がありますよね。

(クリスマスキャロル・あらすじ)

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大切な友人のマーレイ

エベニーザ・スクルージという老人は、みんなに偏屈男みたいに思われていましたが、

でも、まぎれもなく

   人間

なんです。欲張りだろうと、孤独だろうと、それでも人間なんですね。

ということは、

   孤独の寂しさ

   みんなに嫌われるつらさ

は、当然感じていたはずです。

と同時に、

   いちど、こうと決めて始めた

   生活スタイルを変えるのは

   大変に難しい!

ということも同じことですね。

子どもの頃からひとりぽっちで生きることが多く、

  (クリスマスキャロル・スクルージの人生)

そんな経験を積む中で、スクルージには、

  「お金がすべて」

という考えに至ってしまったのでしょう。

そんなスクルージのもとに、マーレイという、一緒に仕事のできる相棒が現れました。

スクルージにとって、

   マーレイは

   たった一人の大切な友人

だったのですね。

ところがそのマーレイが、7年前のクリスマス・イブの24日に亡くなってしまいました。

哀れ、エベニーザ・スクルージは、再びたった一人の孤独な人になってしまったのでした。

ところで、
覚えていますか、会社名を?

   スクルージ&マーレイ商会

いまでもしっかりと「マーレイ」の名前が刻まれています。

知らない人に、「マーレイさんかスクルージさんか」と聞かれても、

全く気にしないほど、「マーレイ」の名前を大切にしていたんですね。

そして、
こちらも覚えていますか、マーレイが亡くなった日を?

   12月24日

だったんです。

スクルージにとって、12月24日は、クリスマス・イブというより、

   たった一人の大切な友人

    マーレイの命日

だったんですね。

なのでクリスマスを、みんなとにぎやかに楽しく過ごす、なんていう気分には

とてもなれなかったはずですね。

そして、マーレイが亡くなって、たったひとりぽっちになってからは、

きっと、とても寂しい思いを感じていたはずです。

また、クリスマスに何をしなければいけないのか、ということも、

きっと、よく分かっていたのでしょう。

何とかしたい、何とかしなければいけない、ということをずっとずっと考えていたはずです。

でも、そのためにはいろんな意味でマーレイの許しを得なければ、という思いがあったはず。

そこで、スクルージを助けるためにやってきたのが、

   マーレイの亡霊(ゴースト)

だったんですね。

これでスクルージは、晴れて変わることができます。

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スクルージは何を感じていたのでしょうか?

スクルージは3番目の精霊に、

  「前とは違う人間になりたい」

と言っていました。

寂しくて孤独な人生は、スクルージにとってもつらく寂しいことだったのでしょう。

  一生懸命仕事をしているのに、

  何故か満たされない、

  何かがおかしい!

  このままでは、
   将来はどうなるのだろう?

という感覚がずっとあって、ずっと悶々とした人生だったのではないかと思います。

自分が亡くなった後の光景を見て、誰も自分の死を悲しんでくれないということにとても寂しく感じるあたりは、ごく普通の人の感覚と同じです。

相棒だったマーレイが 「自分は他の人を助けなかったから、長い鎖を

引きずることになってしまった」 と言った時、スクルージは不思議そうに、

  「だってお前は、

   いいビジネスマン

   だったじゃないか?」

と問い返しています。

スクルージにとって、マーレイは数少ない大切な友人でした。

なので、スクルージは

  「マーレイのために一生懸命仕事をする」

ことがいいことであり、同じように、マーレイも

  「スクルージのために一生懸命仕事をする」

ことがいいことだ、と互いに思っていたのかもしれません。

ところが、大切な友人のマーレイが亡くなってしまって、何をすればいいのかが

分からなくなってしまったのかもしれません。

なので、大切なマーレイの命日に、自分だけが勝手に幸せになっていくことが、

親友のマーレイを裏切りでもするような感覚に陥ってしまい、

マーレイに許しを乞いたかった、ということも考えてしまいます。

そういう意味では、マーレイの亡霊に出て来てもらえて、スクルージは助かりました。

スクルージが改心したというのは、別人になってしまった、という意味ではなくて、

もともと、

   こういう人間でありたい

という思いを実現できる

   チャンスがやってきた、

ということだったのだと思います。

最後に

この物語から読み取れるものとして、スクルージの

   利己的動機

が読み取れる、という意見もありますね。

誰かのためにというよりも、自分自身にとっていい結果になるために頑張った!

ということで、ちょっと気になってしまった、という意見です。

でも、私は「利己的動機」でも

   おおいに結構

と思っています。

たとえば

   母親が命がけで

   我が子を護る

という時、これは母親自身が

   護りたい!

と思っていることであって、子どもが要求したわけでもなんでもありません。

言うなれば、これも立派な母親の利己的動機です。

   誰かの役に立ちたい

   誰かに教えたい

   誰かに喜ばれたい

・・・

こういったものは、人間の本能です。そして自分の本能を満足させる

  「利己的動機」

もまた、社会をよりよくすることにつながっています。

病気に苦しむ人を
助けてあげたい

と思って新しい薬を開発する人も、その一方では

お金を儲けたい

という利己的動機があることも普通です。

でも、こんな利己的動機はまったく問題ではありません。

利己的動機として問題になるのは、ごく一部です。

なので、

   利己的動機

でも、誰かに迷惑をかけるためでない限りは

   大いに結構!

・・・

クリスマスキャロル・そのほか

  スクルージの性格
  スクルージの改心の理由
  クリスマスキャロルのあらすじ
  三人の精霊が伝えたかったこと
  賢者の贈り物
  クリスマスの奇跡

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