クリスマスの物語、セント・ニコラスの話

サンタクロースのモデルになった人物は誰なのか、ということに関しては

  セント・ニコラス (聖・ニコラウスとも言われます)

聖・ニコラウスはオランダ語で「シンタクラース」と発音され、

このセント・ニコラスの逸話がオランダを通ってアメリカそして日本に広まってきたので、

言葉が少し訛って、

  サンタクロース

になった、というのがどうやら定説のようです。

時は4世紀半ばで、当時は太っているということは、食べ物がたくさんあった、

ということはお金持ちだったということのようで、サンタクロースは太っている、

そしてお金持ちだったということになりますね。

そんなサンタクロースのモデルになったセント・ニコラスの物語ですが、

これは、中村妙子さんの訳を参考にさせて頂きました。

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貧乏な貴族の男と三人の娘たち

ずっと昔、小アジアのリュキャという地方のバタラという街に男の赤ちゃんが生まれました。

そして、「ニコラス」という名前をつけてもらいました。

そのニコラスはすくすくと大きくなって、とっても優しい少年に育ちました。

ニコラスのお父さんは町一番のお金持ちだったので、ニコラスは欲しいものは何でももらえたのでした。

でもニコラスは貧しい人たちがどんな暮らしをしているのか、気づいていました。

ところで、ニコラスの両親はニコラスがまだ若いうちに亡くなってしまったので、

ニコラスは若くして大変な財産家になってしまったのですが、

でも、ニコラスは貧しい人たちと同じような質素な暮らしをしていたのでした。

たくさんお金を持っているはずなのに、何故だろうと、

ニコラスと親しい友人たちも含め、みんな不思議に思っていました。

さて、

バタラの町に、ある貴族の男が住んでいました。

でもその男は財産をなくしてしまい、親戚や友だちも寄り付かなくなっていたのでした。

この男には三人の美しい娘たちがいました。

街にはこの娘を自分のお嫁さんにしたいと願っている若者たちがたくさんいたのです。

でも当時は、女の人がお嫁に行くためには、持参金としてたくさんのお金を用意する必要があったのです。

もちろんそのお父さんにそんな大金はありませんでした。

というか、毎日の食べ物にもこと欠くほどだったのです。

このままだと全員が飢え死にしてしまいます。

お父さんは泣く泣く娘をじゅんにどれいに売って、それぞれ何とか生きてもらおうと決心しました。

  明日はいちばん上の娘が
   売られる日だ

お父さんのこころは悲しみに沈んでいました。

ところがその時です。どさんと、何かが部屋の中に投げ込まれたのでした。

それは重そうな袋でした。

お父さんがびっくりして投げ込まれたその袋を開けてみると、中には金貨がいっぱい入っていました。

このお金があれば、いちばん上の娘はどれいに売らずに、結婚させることができます。

次の日、お父さんは娘たちにこの不思議な出来事のことを話し、

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このお金でいちばん上の娘は、自分を愛してくれた若者と婚約式をあげることができたのでした。

これでいちばん上の娘は安心とは思っても、こんどは2番目の娘をやっぱりどれいに売らなければなりません。

次の日、お父さんが再び悲しみに沈んでいると、またしても

  ドスン

と袋が家の中に投げ込まれたのでした。

前の日と同じ、金貨がぎっしりとつまった袋でした。

お父さんはびっくりして外に出たのですが、外にはもう誰も見えませんでした。

でも、これで2番目の娘の結婚のための準備ができます。

愛し合っている若者と娘は、さっそく婚約の式を挙げたのでした。

誰が金貨を投げ入れたのか

次の日、お父さんは

  もしかしたら、
  また金貨が投げ込まれるかもしれない

と思って、昨日と同じ時間にこっそりと物かげに隠れて見ていました。

こんどは誰が投げ込んだのかを突き止めて、お礼を言おうと思っていたのでした。

するとしばらくして、顔を外套で隠した男が重そうな袋を持って、暗い中を家に近づいてきたのでした。

お父さんは急いでその人に近づいて、外套につかまったのです。

そして逃げようとする男の顔をみたら、なんとそれは町でいちばんのお金持ちと言われていたニコラスだったのでした。

お父さんはひざまずいてお礼を言い、なぜこんな風に隠れてお金をくれたのかをたずねました。

ニコラスは

  他の人には知られない方がいい
  特に娘さんたちにはいっさい
  黙っていてください

と頼みました。

お父さんは約束を守って、ニコラスのことを黙っていようと思ったのですが、

三人の娘たちに何度も何度も、代わるがわる聞かれてしまい、とうとう白状してしまうことになりました。

  お前たち以外には
  決して話してはいけないよ

と何度も言って、ニコラスがお金を投げ込んでくれたことを話したのでした。

サンタクロースのはじまり

決して他の人には話さないように、とは言われても、やっぱりいつの間にか

この話は町中のうわさになり、ニコラスのしたことをみんなが知ってしまうことになったのです。

こうしてニコラスは町中の貧しい人たち、特に小さな子どもたちを特別に大事にして、

聖人として尊敬されたのでした。

この、暗い夜に子どもたちにそっと素晴らしい贈り物をしてくれる聖・ニコラスの話は、

いつしかヨーロッパ中に広まり、聖・ニコラスがサンタクロースとして世界中に

知られるようになったのでした。

参考

  クリスマスローズの伝説
  クリスマスキャロル、スクルージの性格を知ろう
  クリスマスキャロル、スクルージ改心の理由は
  クリスマスキャロル、三人の精霊が伝えたかったこと
  賢者の贈り物の賢者の意味を知る
  三十四丁目の奇跡1947
  クリスマスの奇跡
  ベツレヘムの夜
  誰が鐘をならしたか
  クリスマスツリーの願い
  セント・ニコラスの話

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