クリスマスキャロル、三人の精霊が伝えたかったこと

ケチで冷たく強欲な商人、エベニーザ・スクルージという老人には、今は亡き昔の友人ジェイコブ・マーレイがいました。

そのマーレイが亡くなったのは7年前の12月24日、クリスマス・イブの日のことでした。

そのちょうどクリスマス・イブの日に、マーレイの亡霊がスクルージの未来を心配して助けてあげようと現れます。

そしてマーレイが言うには、今夜から三人の精霊が夜中に一人ずつスクルージのもとに現れるとのことでした。

そしてその夜から、三人の精霊が次々とスクルージのところに現れて、いろんなことを教え見せてくれるのでした。

でも、この三人の精霊はずいぶん感じが違っているんですね。これらの三人の精霊は、それぞれいったい何をスクルージ老人に言おうとしたのでしょうか?

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過去のクリスマスの精霊

最初に現れた精霊「過去のクリスマスの精霊」は、見た目は子供のようで優しい声で話してくれました。

精霊が見せてくれたものは、スクルージの子供のころの思い出で、それはスクルージが

   何年も前に心から追い出してしまった
   優しい心や希望、心配、喜び

など、現在のスクルージが忘れてしまっていたたくさんの感情や優しい心を思い出させてくれました。

そして子ども時代のスクルージのような、助けを必要としている子どもたちがたくさんいることも教えてくれました。

これらを通じてスクルージは、厳しいお父さんのもとで孤独な子ども時代を送ったことや、スクルージを大好きに思っている妹のファンがいたなど、懐かしい思い出をたくさん思い出しました。

精霊は、お金の亡者になってしまったスクルージに、懐かしい思い出を通じて、

   お金以外の大切なもの

を一生懸命に教えてくれているようでした。

そして最初に働いたフェジウィッグじいさんのところでは、フェジウィッグじいさんにとてもよくしてもらい、人の温かい気持ちを思い出させてくれました。

その他にもたくさんの「人のこころ」をスクルージは思い出したのでした。

その中には、昔の恋人ベルがいまでもスクルージのことを覚え、気にかけてくれていることなどもありました。

現在のクリスマスの精霊

次に現れたのは緑の服を着た巨人の精霊でした。

ところで、この緑の服を着た巨人というのはイギリスのサンタクロースで、伝統的に緑の服を着る

   ファーザークリスマス

のことだったのかもしれません。

クリスマスには貧しい子供たちに贈り物をし、26日の「クリスマスの贈り物の日」(ボクシングデー)にはクラチットなどの使用人たちに贈り物をしなさい、という意味が込められていたように思います。

スクルージが現在のクリスマスの精霊がいる部屋に入ると、そこには七面鳥、ガチョウ、肉、ソーセージなど、クリスマスにはとても大切な食べ物がたくさんあり、暖炉には大きな火があかあかと燃えていました。

きっと第二の精霊は

  「さあ、これらの食べ物を貧しい人たちに
   贈ってあげなさい」

という意味と、スクルージが改心した後で、実際に何をすればいいのかということの手本を見せてあげたのでしょう。

だから、スクルージをクラチットの家に連れて行く途中で、貧しい家庭の人々の料理に、特製の調味料を振りかけてあげてたんですね。

そしてクラチットの家に着きました。

26日の「クリスマスの贈り物の日」には、クラチットのような使用人に贈り物をするのが当時の習わしだったので、クラチットの家を見せたんですね。

スクルージはそこで、自分が経験したことのない

   家族の温かい団らん

を見ることができ、小さなティム坊やを見たりしているうちに、

   この家族への
   贈り物が持つ意味

を十分に理解することができたんですね。

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そしてその後は甥のフレッドの家に連れて行きました。

甥のフレッドは、大好きだった妹の子どもです。そのフレッドもスクルージのことを大切に思っている人でした。

そのフレッドの家の団らんをスクルージに見せて、スクルージを安心させてあげたのでしょう。

  「あなたを好きな家族が
   ここにいますよ!」

スクルージは全くの一人ぽっちじゃなかったんですね。2番目の精霊はそのことを思い出させてくれました。

未来のクリスマスの精霊

未来の精霊は何も言いませんでした。

顔も体も見えなくて、見えたのはマントから突き出された白い片手だけでした。

スクルージに伝えたいことは、今までの二人の精霊がすでに伝えていたんですね。

するとこの後は、

   じゃあ、スクルージは
   これから何をすればいいのか?

ということだけだったんですね。

白い片手の指で未来の姿を指し示して、

   今のままならば
   こうなるんだよ!

と示すだけで、その後のことはスクルージ自身に考えさせたんですね。

   これをよく見なさい、
   そして、自分でよく考えなさい!

そこで見せられたのは、未来のスクルージのお墓でした。

スクルージが亡くなったというのに誰も悲しんでくれない。誰も世話をしてくれない。そして自分のお墓の周囲の草は伸び放題で、誰も手入れもしてくれていませんでした。

スクルージが精霊のマントをつかんで、「いやだ!」と叫び、

  「自分の生き方をどう変えたらいいか
   今わかったんだ!」

と言った時、精霊の手は震えていました。もうすぐ自分が消えてしまうということを知っていたのでしょう。

スクルージの決心は、

  「これから、心のなかは
   いつもクリスマスの気持ちでいる!」

ということでした。

   貧しい人や困っている人を
   助けてあげよう

という意味ですね。

そして未来の精霊は最後まで何も言わないまますっと消えてしまい、スクルージのベッドの柱になっていました。スクルージを陰から支えたのでした。

未来の精霊が最後まで何も指示しなかったのは、人は誰かに言われて考え方を変えるのは難しくても、自分で考えたことなら考えを変えることはできる、ということだったのでしょうか。

最後に

 

スクルージの親友のマーレイは三人の精霊を通じてスクルージに教えてくれたんですね。

   第一の精霊
    : スクルージの中にある
      温かい心を思い出させた

   第二の精霊
    : スクルージがこれから
      何をすべきかの手本を示した

   第三の精霊
    : 何をするかを自分で考えさせ
      今のまま改心しなかった時の
       悲しい結末も見せた

三人の精霊が力を合わせてスクルージを導き、助けてあげたんですね。

・・・

クリスマスキャロル・そのほか

  スクルージの性格
  スクルージの改心の理由
  クリスマスキャロルのあらすじ
  三人の精霊が伝えたかったこと
  賢者の贈り物
  クリスマスの奇跡

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