クリスマスキャロル、あらすじと背景

クリスマスキャロルの舞台となる当時のイギリスでは、産業革命が急速に進展し、貧富の差の拡大によって多くの貧困が生まれ、クリスマス時期になっても多くの人はそれを祝おうと言う気分にはなれませんでした。

人々が互いを思いやる心の余裕もなく、クリスマスツリーを飾ったりパーティーで豪華なごちそうを食べるなどという余裕もない頃のことでした。

そんな中、仕事一筋で働き成功を勝ち取ったエベニーザ・スクルージですが、そのための代償は大きいものでした。

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クリスマスキャロルのあらすじ

金貸し業を営むエベニーザ・スクルージという初老の男は、お金の亡者で、冷酷無慈悲なエゴイストで、人のこころの暖かさや愛情とは無縁の生活を送っていました。

スクルージに挨拶しようという者は誰もなく、盲導犬でさえ主人をスクルージから遠ざけようとするほど、みんなから嫌われていました。

そんなスクルージのところに、かつての共同経営者で、今は既に亡くなっているマーレイの亡霊が訪れ、スクルージを助けるため三人の精霊を送ると言います。

最初の精霊はスクルージを懐かしい少年時代に戻し、懐かしい子供の頃の彼の姿を見せてくれます。
そこには、素朴で純粋な心を持った、しかし孤独なスクルージ少年の姿がありました。

そしてスクルージ少年も大きくなり恋をしますが、そのころには彼はお金の亡者になっていて、恋人と別れてしまいました。

その次の精霊は現在のクリスマスの精霊で、貧しくても明るく幸せな様子の彼の使用人、ボブ・クラチットの家庭を見せてくれます。
そしてボブの末っ子のティム坊やが体が弱く、障害を持っていることも見せてくれました。

三番目の精霊、未来のクリスマスの精霊はスクルージの未来を見せてくれます。
そこには、スクルージが死んだのに誰も悲しんでくれず、スクルージの衣服をはぎ取って売り払う者さえいました。

その結果、ついにスクルージは自分の行動を改めようと改心したのでした。
クリスマスには貧しい人々に贈り物をし、使用人にも贈り物をし、その結果スクルージ自身にも幸せが訪れたのでした。

クリスマスにスクルージがしたことは?

伝統に基づいたクリスマスの季節は、

   クリスマスの12日
  (The Twelve Days of Christmas)

として、12月25日からの12日間、つまり1月5日まで続きます。

そしてイギリスでは昔、12月26日には小箱にお金や品物をいれて、使用人や従業員たちに贈る習慣があり、

  「ボクシングデー」
   (クリスマスの贈り物の日)

と呼ばれていました。

また、クリスマスから数えて12日目の1月5日(十二夜:Twelfth Night)には、それまでの飾り付けなどはすべて取り払うことになっていました。

そして、
この物語はクリスマスの前の日、12月24日のクリスマス・イブから始まります。

24日の夜から1日に一人ずつ、合計三人の精霊がスクルージ老人のもとを訪れます。

そして三人の精霊たちの訪問が済んだ後、スクルージが自分の部屋のベッドで目覚めると、何とその日は12月の25日、

  「クリスマスの日に

   スクルージは目覚めた」

のでしたが、

     あれ???

   確か精霊たちは、
   24日の夜から
   1日に一人ずつ
   やってきたはずでは?

う~ん? 計算で言えば、スクルージが目覚めたのは27日じゃなきゃおかしいですよね。

   これ、

    どう考えましょうか?

とは言っても、私に考えられる答えは、これ一つ

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   スクルージは24日の夜に夢を見た

   その夢の中で

   三人の精霊たちの訪問を受けた

そして、こんな意見もあったのですが、

  「脅されたからって、ビビッて

   いきなり改心するなんてありえない!」

っていう話なんですが、そうです、

   脅されたんじゃないんです

スクルージ自身が現在の状況に違和感を持ち、既にその時には一生懸命に考えていたんですね。

   こんなに一生懸命頑張って

   豊かになったはずなのに、

   心はちっとも満たされない!

    どうしてだ??

そしてクリスマス・イブ夜の、親友だったマーレイの命日に考えたのは、夢の中で三人の精霊の訪問を受けるという形でした。

子どもの頃の純粋な気持ちと、楽しかったことや感動したこと、大きくなって働きに出てフェジウィッグじいさんに良くしてもらったこと、使用人で貧しいクラチット家のことやティム坊やのこと、そして今の生活を続けた結果どうなるのかを想像して得られた答え、これらを総合して、

   スクルージが

   自分で考えて結論を出した

ということですね。

だから素直に改心できたんだと思います。

   じゃあ、この日付の食い違いは?

などという野暮な質問はよしましょう!

これは物語です。エベニーザ・スクルージという老人の頭の中では、確かにこの通りに話が進んでいたんです。

それが物語になっただけです。

スクルージというキャラクターが意味するもの

「スクルージ」という名前は英語の辞書にも載るほど有名になりました。

   けちん坊、守銭奴

などと言う意味ですが、小説から辞書に載るほどの言葉ができてしまったんですね。それだけこの物語が多くの人々に支持されてきたことを意味しています。

このスクルージという人物はいったい何者か? と考えた時、

   スクルージとは

   実は私たち自身のこと

なんじゃないかと思います。

讃美歌の中でも、特に多くの人に歌われる歌「いつくしみ深き」の中にはこんな詩があります。

   いつくしみ深き 友なるイエスは、

   罪、とが、憂いを 取り去りたもう

そしてイエスに救いを求めます。

人は誰しもが、罪や咎(とが:人から責められたり非難されたりするような行為)憂い抱えているんですね。決してスクルージだけの問題ではありません。

だからこそ、この物語がこれほどたくさんの人々に、長い間支持されてきたんですね。

そしてスクルージは、もともと自分自身の中にあった「温かいこころ」を思い出して改心したということでしょう。

最後に

この物語を子供が読んでも、きっと本当には意味が分からないと思います。

でも、一度子供のころに読んでおくことで、大人になってから読み直した時、さらに深い意味を理解することができるようになると思います。

なので、子供にこの物語を読ませるのもいいことかと思います。

・・・

クリスマスキャロル・そのほか

  スクルージの性格
  スクルージの改心の理由
  クリスマスキャロルのあらすじ
  三人の精霊が伝えたかったこと
  賢者の贈り物
  クリスマスの奇跡

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