クリスマスの物語、クリスマスの奇跡

これは主人公の「ぼく」が子供のころに起きた、クリスマスの奇跡(?)の物語です。

  奇跡なんてウソだ!

なんて言う人もいることでしょうが、さぁ、どうでしょうか。

この「クリスマスの奇跡」、中村妙子さんの訳を参考にさせて頂きました。

アメリカの開拓者が頑張っていたころの話で、「ぼく」はまだ6歳。おとうさんとおかあさん、そして弟の4人で暮らしていた時の話でした。

物語はぼくが6歳になった年のクリスマスの前の日の朝から始まります。

おとうさんがぼくと弟をつれて、ちかくの森に散歩に行った時のことでした。

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三本のバルサムの木

おとうさんは植物学者でした。珍しい木や実をみつけては、よく採集していました。

この日は三度足を止めて、(薬用や香料に使われていた)バルサムの木を切りました。

一本目は小さくて、苗木ぐらいの大きさの木でした。

二本目は少し大きくて、30センチぐらいの大きさでした。

三本目に切ったのは、ぼくらの背よりも少し高いぐらいの大きさでした。

ぼくらはこれがクリスマスと何の関係があるのかなんて、ぜんぜん思いつきませんでした。

三本の木は旗でも持つように、三人で持って帰りました。

そしてその日のクリスマスイブの夜のことでした。

暗くなったのに、何故かクリスマスツリーが見当たりません。ぼくは何だか心配になってしまいました。

いつもならお昼ごろには居間にクリスマスツリーが立てられて、夜はおかあさんが飾りつけをします。

ぼくもワクワクしながらお手伝いするはずでした。

どうしてクリスマスツリーがないのか、おかあさんに聞いてもよく分かりません。

ツリーがないということは、もしかしたら今年はクリスマスがないのかもしれません。

ぼくは心配になって、いろいろ考えてしまいました。

もしかしたらこの前、ネコを牛乳のおけに入れて、おかあさんに叱られたことがあったことを思い出しました。

もしかしたらそのせいで今年はクリスマスがないのかもしれない。ぼくはひどく後悔してしまったのですが、もう間にあいません。

居間の片すみには土を入れたはちが置いてありましたが、そこにはクリスマスツリーはありませんでした。

クリスマスには不思議なことが起きる

  クリスマスはね、

  不思議なことが起こる日なんだよ

とおとうさんが言いました。

だって、「神様の子がお生まれになったのだから」、と教えてくれました。

おとうさんとはちだけを部屋において、おかあさんとぼくらは外にでました。

おかあさんが、

  奇跡が起こるよう

  歌いましょう!

と言って、「ああベツレヘムよ」を歌いました。

ぼくもあまり元気な声ではありませんでしたが、歌いました。

しばらくしてドアがあいて部屋に入ると、なんと、

  土を入れたはちに

  苗木ぐらいの大きさの

  小さな木

がはえていました。

飾りはなくても、確かに「木」でした。

ぼくはビックリして外にでました。

そして待っている間、また歌いました。

次に部屋に入ると、さっきの苗木は30センチほどの若木になっていました。

また部屋を出て、今度は力を込めて一生懸命に歌いました。

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そして三度目に部屋に入ると、木はもうぼくらの背よりも高くなっていました。

  もしかしたら・・・

  もういちど・・・

ぼくの心は期待でいっぱいにふくれあがっていたのでした。

クリスマスの奇跡

大人になったいまでも、

  「ああベツレヘムよ」

の調べを聞くたびに思いだします。

この調べといっしょにおかあさんの澄んだ歌声が聞こえてくるような気がしてなりません。

もう60年以上もたっているのに、いまもなおぼくの耳にとどまっているのです。

いままさに美しい光景が目の前にあらわれようとしている感覚、

あの、四度目にドアが開いたときのこと、

  天井まで届く大きな木

  銀色に輝くかざり

まるで、

  遠い別世界からの便りのような光景

でした。

でも、中には

  手品みたいなことを!

  奇跡なんて
  人間が考え出した
  くだらないごまかしだ!

なんて言う人もいます。

でも、たとえたった一日でも、この日を清らかな気持ちで過ごし、友情を感じ、

他の人への善意の気持ちを感じるとしたら、それはすばらしい奇跡と言えるでしょう。

おまけ

幸福学白熱教室という番組には、この話を思い出させてくれる回がありました。

   幸福を呼ぶ負け:幸福学白熱教室(幸福は伝染する)

エド・ディーナー博士の体験で、

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  私は、心の中にある幸せの井戸から、地球の反対側で体験した 

  10年以上前の話を取り出してきて、あの日と同じ感情を再び味わいました。

  今でも、あの時の幸福感を呼び起こすことができます。
————————————————

この物語の「ぼく」も、「ああベツレヘムよ」の調べを耳にするたびに、

  「心の中にある幸せの井戸」

から幸せを取り出してくることでしょう。

そして、おとうさんおかあさんの優しさと愛情を、何度も何度も思いだすでしょう。

そう言えば・・・

映画

  「三十四丁目の奇跡1947」

の中でも、あのクリングルさん、奇跡を起こしてましたね。

参考

  クリスマスローズの伝説
  クリスマスキャロル、スクルージの性格を知ろう
  クリスマスキャロル、スクルージ改心の理由は
  クリスマスキャロル、あらすじと背景
  クリスマスキャロル、三人の精霊が伝えたかったこと
  賢者の贈り物の賢者の意味を知る
  三十四丁目の奇跡1947
  クリスマスの奇跡
  ベツレヘムの夜
  誰が鐘をならしたか
  クリスマスツリーの願い
  セント・ニコラスの話

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