ピグマリオン効果が教育の場面でなぜ生じるのか?子育てへの応用は?

教育心理学の世界では「ピグマリオン効果」と呼ばれる現象があるんですね。

これ、アメリカの教育心理学者のロバート・ローゼンタール博士

という人が、いろいろと実験した結果、だんだん分かってきたことなんです。

何が分かってきたのかというと、

   先生が

   「この生徒は将来伸びる!」

と思うと、なんと、

   “本当にその生徒の成績が伸びる!”

という話なんです。

一見、

   ハァ-?

   なんじゃ!

なんて思いそうな話ですよね。

でも、そうじゃないみたいなんですよ!

ローゼンタール博士が、何度も何度も実験をして

示してくれたんです。

もちろん、

   そんなの、あり得ない!

なんて反論する人もたくさんいるんですけどね、

私には、

   なるほど、

    そうか!、そうなんだ!

って思えてしまったんです。

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ピグマリオン効果は教育に役立つと言われるが、どうなのか?

元はと言えば、アメリカの教育心理学者の

ロバート・ローゼンタール博士という人が、

ネズミを使った実験をしていたんです。

実験というのは、ネズミを

  A:利口なネズミの系統

  B:動きが鈍いネズミの系統

の2つに分けて学生に与えて、迷路の実験をさせたんです。

そしたら、なんと!

  A:利口なネズミの系統

の方が成績が良かったと言うんです。

でも、実はこれ、

   2組のネズミは

    適当に分けただけ

だったんです。

でも、そんなこととは知らない学生は、

利口なネズミと鈍いネズミとを、無邪気に信じてたんだそうです。

するとローゼンタール博士、

   うん、

    これは面白い!

とばかりに、人間でも試してみたくなっちゃったんですね。

いや、いまこんな実験をやろうとしても、

   倫理上許してもらえないでしょ!

とも思うんですが、時は1964年、

まだまだ倫理上の制約は緩い時代の話です。

ローゼンタール博士は、教育現場での実験として、

サンフランシスコの小学校で、

  「ハーバード式
   突発性学習能力予測テスト」

という、仰々しい名前の、ただの知能テストを行い、

先生には

  「このテストは将来の学習の伸びが
   確実に予測できるものです。

   まだ研究中なので結果を教える
   ことはできませんが、

   先生にだけ、将来伸びる子の
   名前を教えましょう」

などと言って、

伸びるとされた生徒の名前を教えました。

はい、これを読んでいるあなたのご想像通り、

挙げられた生徒の名前は

   適当に選んだ

だけだったんです。

でも1年後、知能テストをし直したら、

伸びるとされた生徒の成績が

   確かに向上した

ということなんですね。

ちょっとここで、実験でのポイントを

挙げたいのですが…

 1・やった人は
   : 教育心理学者
     ロバート・ローゼンタール博士

  多分、とても権威のある人だったんだと思います。

  そうでなければ、たくさんの小学校が

  実験などさせるわけがない!

 2・タイトルは
   : ハーバード式
     突発性学習能力予測テスト

  よく分からないけど、すごそうな名前です。

 3・伸びるとされた子の名前を書いた名簿は

  先生は ざっと一度見ただけ

  子供たちの名前は覚えていなかった

とのこと

そして、

   生徒と先生との付き合いの長さ

によってもピグマリオン効果の有無が違ったようです。

 4・2週間以内の場合:効果ありが91%

  ・2週間以上の場合:効果ありが12%

ということでした。

このことが何を意味するんでしょう?

1・やった人 と 2・タイトル からは、

  すごい人が

   すごいことをやってる!

みたいな感じでしょうね。

そんな人から

  この子は 成績が伸びる

と言われたら、

  素直に信じる

しかないでしょう。

例えて言えば

お母さんが子供を連れて来て、先生に

  「この子はロバートです」

と言ったら、先生 素直に信じますよね。

これと同じかと思います。

いちいちDNA鑑定やら戸籍調査なんて、

発想さえ浮かばないですよね。

次に 4・2週間以上 についてですが、

これも面白い、というか

   なるほど~!

と思わせてくれますね~。

先生と生徒とのつきあいが長いんです。

少なくとも2週間以上ですが、

もっと長い場合もたくさんあったでしょう。

つきあいがそんなに長くなってしまうと、いくらその生徒のことを

   この生徒は伸びます

と言われても、さすがに先生も

   素直には信じられなかった

のだろうと思います。

  「博士は この子は伸びる
   とおっしゃいますが、

   いや、やっぱり、・・・

   この子はダメなんです。

   伸びると思え、
   ということでしたら、
   思っても構いませんが…」

こんな感じでしょうか。

反対に、つきあいが2週間以内の場合は、

先生は 生徒のことをよく知らないので

きっと素直に信じられたんでしょう。

ネズミを与えられた学生と同じ立場ですね。

ネズミの実験の場合ならが、

同じネズミと2週間以上のつきあいのある

学生はめったにいないでしょうから、

こちらは素直に信じられたと思いますよ。

そして、 3・ の名簿の話なんですが、

 3・伸びるとされた子の名前を書いた名簿は

  先生は ざっと一度見ただけ

  子供たちの名前は覚えていなかった

とのこと

これもなかなかに面白いですね。

子供たちの名前を覚えていなかった、とのことですが、

これって、

   思い出せなかった

っていうだけですよね。

あの、「想起」できない ってやつかと思いますが。

だけど、

  「潜在記憶」

には しっかりと記憶されていたはずですよね。

たとえば先生が、もし同じ名簿をまた見せてもらったら

  あ~! そうそう  (覚えてた)

ってなったと思います。 まさか

  これは 何ですか? (初めて見ました)

なんて ならないと思います。

同時に、生徒の名前を覚えていなかった分、

先生が、伸びるとされた生徒に

   へんなちょっかいを

   出さずにすんだ!

ので、実験がうまく行ったんでしょう。

もし先生が、伸びるとされた生徒に

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  「君は やればできる子だ!」

なんて言ってしまったら、

裏を返せば(行間では)、

  「いまのあなたは バカだ!」

になっちゃいます。

だから、名前を覚えてなくて良かったんですね。

ピグマリオン効果はなぜ生じるのだろうか?

この、

  伸びる とされた生徒の

   成績が 本当に伸びた

ということの効果のことを、日本語では

  「教師期待効果」

と訳されているようです。

がっ!

どうも、

  この訳、

   私には

    しっくりきません

期待効果 とはあるのですが、

教師は

   期待など していない

ですよね。生徒の名前さえ、思い出せなかったんですから。

教師は

   ただ、ひたすら

   信じ込まされただけ

なんですね。

ところで、生徒の能力を信じる、ということに関して

一般的には

  教師 という立場では

   難しい!

のではないでしょうか。

教師と生徒の関係は、普通は

ある程度長い期間のつきあいになるはず。

ある程度の長い期間の付き合いのある生徒のことを、ある日突然、

   この生徒は

   将来成績が伸びる

なんて言われて、信じられるかと言っても、

   無理でしょ!

ここは 「教師」 という枠は

外した方がいいな、なんて考えます。

★ところで

このピグマリオン効果は、どうして効果があるんでしょうか!

伸びるとされた子供と、

その子を見る先生の心の声を

ちょっとだけ、

想像してみたくなっちゃいました。

・・・

先生:あれ! この子は…?

生徒:ん! 先生、いまこっちみなかったか?
    気のせいか?

先生:え! この子、こんなことする子?

生徒:やばっ! スマホしてたのばれたか?
    勉強してるふり しなきゃ!

先生:あ、勉強してたのか
    そうだよな~、やっぱり …

生徒:あれっ 先生 なんか、笑いながら
    俺の方見てるような気がする

   しゃ~ない もう少し勉強続けるか…

   あれ、この問題 解けちゃった!

先生:お~っ!

生徒:やった! 先生びっくりしてる!

  ・・・

こんな、オーラのやり取りが続くうちに

いつの間にか勉強が好きになってました。

なんていうことかな?

という想像でした。

★また ところで

このピグマリオン効果、

先生と生徒とだけの問題じゃないですよね。

  親 と 子

  コーチ と 選手

  先輩 と 後輩

  上司 と 部下

   ・・・ (たくさん)

そして、思われるのが

  「伸びる」

ではなくて、

  「こいつはダメだ」

なんかだったら、

ちょっと、気の毒なことになるかも…

ピグマリオン効果でも悪い方の効果を

   逆ピグマリオン効果

なんて言うのかどうかは分かりませんが

身近な人 特に親から

  「お前は 何をやってもダメだ」

なんて思われちゃうのは、かわいそうですね。

かと言って、口だけで

   お前はできる子だ

と言ってみても、うまくはいかないでしょうけどね。

ピグマリオン効果を子育てに応用するための方法は何か?

子育てへの応用の前に なんですが、

このピグマリオン効果に対しての批判もあるみたいなんですね。

スピッツという人の再実験の結果、ピグマリオン効果は見られなかった

ということがあるようでした。

でも、

   再実験って難しい

はずですよね。

教師の立場の人が ピグマリオン効果を知っていたら、

「やらせだ!」と感じてしまって、

本気で信じ込むことはできなくなるし、

実験をする人が どれだけ権威のある人かによっても

信じ込ませ具合が大きく変わりますよね。

それに、ピグマリオン効果があることが分かって

学校で実験をしてしまった時、

倫理的な問題だって発生しそうな気がしますよね。

でも、ローゼンタール博士のころは、

誰もピグマリオン効果なんて知らない頃なので、

気楽に何度も実験ができたんだと思います。

教師も本気で信じ込んだんだと思います。

なので、ローゼンタール博士の実験結果を

私は信頼したいと思います。

★さて、

ピグマリオン効果があると、信頼しての話ですが、

マンガ

  「ヒカルの碁」

の中には、「塔矢行洋」という、

とても強い棋士が登場します。

そのお父さん(塔矢行洋)に、

息子の塔矢アキラが 質問をしました。

  「お父さん、
   ボク、
   囲碁の才能 あるかなあ」

それに対して、お父さんの答えは

  「囲碁が強い才能か?
   それがおまえにあるかどうか私にはわからんが…
   そんな才能なくっても

   おまえはもっとすごい才能を
   ふたつ持っている。

   ひとつは誰よりも
   努力を惜しまない才能

   もうひとつは限りなく
   囲碁を愛する才能だ。」

これはお父さんの本心だと思います。

ここを読んだ時、

  「うわぁ~!!

   こんなお父さんに育ててもらったら、

   天才が育つはずだ~!」

なんて、思わず感動してしまいました。

   ピグマリオン効果の典型例

みたいに感じています。

(マンガの話ではありますが…)

ピグマリオン効果ですべてを語るのは

当然無謀ですが、

でも、親が

  「この子はダメだ」

なんて思っちゃったら、

子供が可哀そうに思っちゃいます。

でも、どうして「この子はダメだ」なんて

思っちゃうんでしょうね。

どうも

  「親の誤った期待」

にあるような気がします。

この言葉、知ってますよね、 これ

  「這えば立て 立てば歩めの親心」

這った子に

   まだ立てないのか!

立った子に

   まだ歩けないのか!

と、いつも不満たらたらの親の場合と、

這った子に

   お~! 這えるようになったんだ!

立った子に

   お~! 立てるようになったんだ!

と、いつも感動してくれる親の場合で、

結果は大きな差になりそうに思います。

まとめ

ピグマリオン効果は、学校内での効果、ということで広まったんですが、

子供の教育という意味では、私は

   家庭内での効果

の方がずっと大きいと感じています。

そして、親の

   子供に対する向き合い方

が、いい意味でも悪い意味でも、

ピグマリオン効果の影響が大きいと感じています。

我が子をよく見る、いい点を数え上げる、

それによって、

  「この子は素晴らしい!」

と、本心から感じる、

ということは、とても大事なことだと思います。

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