子供って、本当に小さい時から、子供なりの理論を持って考えているようです。
まだお座りもできないうちから、
物は支えがないと落ちる
とか、お座りができるようになると、
物はまっすぐ下に落ちる
みたいなことはお手のものです。
そして、子供相手の実験者はいろんなことをして、楽しんでいます。
まっすぐ下に落ちる物を見ても、いかに子供と言え驚ことはないのですが、
物が斜めに落ちる?
なんていう映像を見せると、子供は
ナニ??
とばかり、眼を丸くします。
放送大学の教育心理学概論(2014班)には面白い研究結果がたくさんあります。
素朴理論はたくましい観察の結果から
短いながらも、子供も人生の中でいろんなことを経験し、
その経験から、子供なりの世の中の理論を作り上げているようです。
教育心理学概論の中では、これを
素朴理論
と呼んでいました。
あくまで経験から言えることだけなので、学校で勉強してはじめてわかるようなことは
この素朴理論には入りません。
子供は、大人の想像以上に自分の周囲を、よ~く観察してみています。
でも、自分で経験したことから分かった素朴理論に、学校でいろいろ勉強することで
さらにいろんなことが分かるようになる途中の段階では、
子供たちもずいぶん苦労するようです。
たとえば、
「地球は丸い」
という知識と、自分が経験している「地球」とが違っているんですが、はて
どうやって
辻褄をあわせようか?
なんて、子供の頭の中ではとってもこんがらがっているようです。
ある子は
地球は、実は2つあるんだ
だったり、別のある子は
丸い地球の真ん中に
平らなところがあるんだ
だったり、その他にもたくさん、素晴らしいアイディアが ・・・
生まれてからの自分の経験から分かった理論(素朴概念)が、
学校などで教えられる理屈(科学的概念)に少しずつ変化しながら
成長して行く過程が、子供なりにいろいろ頑張っている様子が見えて
人間ってすごい!
って思えるところですね。
子供に、
地球はどんな形ですか
と聞くと、大抵は「丸」と答えることができるんですが、
ここでちょっと意地悪な質問をしてみると、たちまち困ってしまうようです。
人は地球のどこに住んでいますか?
ずっとずうっと歩いて行くと
そのうちどうなりますか?
月や星はどこにありますか?
なんて聞くと、
「地球の中の平らなところに住んでいる」
「ずっと歩き続けていたら、
そのうち地球の端について
おっこっちゃう」
「月や星は、地球の
ずっと上の方にある」
なんて答えるそうです。
これって、時代が昔だったら、立派な大人の考え方ですよね。
2種類の知識
地球は丸い
物は支えがないと落ちる
子供にとって、この2つの知識、自分が確かに知っている知識と、
周囲の誰かから教えられた知識の2つの知識を、
どうやったら
どちらも納得させっれるんだろう!
子供なりの涙ぐましい努力の跡が見えるのが、次の子供が考えるモデルです。
1.「2つの地球」モデル
これまで知っている地球とは別に、
惑星として別の地球がもうひとつある
2.「空洞球体」モデル
透明のビーチボールのようなイメージで
空洞の球体の中に平らな大地がある
3.「平らな(クッション型)球体」モデル
球体を平らに押しつぶした
厚手のクッションのような形をしたモデル
どうやら、この3種類の考え方が、子供が考えるモデルの中でも中心的なようでした。
ヴォスニアドゥと人が小学生60人(1年生20人、3年生20人、5年生20人)に
調査をしたところ、25人が上の3つのモデルのどれかに入っていました。
そして、(大人と同じ)科学的モデルを考えていた子も何人かいて、
科学的モデルを考えた子の数(それぞれ20人中)
1年生 3人
3年生 8人
5年生 12人
でした。ちなみに、2つの地球を考えていた子は
1年生 6人
3年生 2人
5年生 0人
さすがに高学年になると、地球が2つおあるなんて考えないんですね。
それにしても、
子供の発達も面白い面白いものですが、
それを知ってやろうと、あれやこれやと考えだす研究者の方法がまた
負けず劣らず面白いですね。