ポジティブに生きることは人生を豊かに健康にする、そんな研究が

人間、生きる上でポジティブに考えることは大事なようです。
ポジティブになることで、幸福感や満足感などが増すともよく言われますよね。

でも、「私の場合はネガティブな考えばかりで、ポジティブな考えなんて全然浮かんできません」、なんていう人もいそうですね。

でも、ちょっと待ってください!

私が放送大学で学んだ「社会心理学’14」によるとですね、

  「ポジティブイリュージョン」

なんていう現象があって、人間ってもともとポジティブに考えているものなんだそうです。

つまり人間はもともと、

  ものごとを
  自分に都合のいいように
  自分勝手に考えている

というものなんだそうです!
(社会心理学・「それでも人は楽天的な方がいい」)

これを読んでいるあなたも、きっと思い当たるところがあるんじゃないかと思うのですが…

そういう私もいろいろと思い当たるところはありますが、それは後ほどとして、最近とみにこういう感覚に気づくようになってきました。

たとえば私(男)が、前から歩いてくる素敵な女性を見て、

  「ずいぶん危なっかしいかかとの靴だな!
   いまにこけるんじゃないか?」

なんて思いながら、通り過ぎた後を振り返って見ます。
するとその女性の頭の中では、

  「私の素敵な魅力が
   男を振り向かせた!」

なんて思ってるんだろうと思います。
思うのは勝手ですから、自分が一番気分のいいように考える方が、楽しくて幸せですよね。

どうやら人間にはもともとこんな風に、ものごとを解釈するのに自分に都合のよい「歪み」が入っているようで、これが心身の健康の維持・促進にも貢献しているようでした。

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ポジティブになれないって、本当?

この「ポジティブイリュージョン」っていうのは、テーラーという人がいろいろと調査して探り当てたという、人間の習性(本能?)みたいなんですが、たとえば

  自分は車の運転が
  普通の人よりも上手か?

という質問に対して、90%の人が「はい」と答えたそうです。
普通に考えたら、90%以上もの人が平均より上なんてあり得ない話なんですが、過去に事故を起こしたことのある人の場合でも、やっぱり同様のようでした。

中には、

  正常な人よりも
  うつ状態の人の方が
  世の中を正しく認識している

なんていう意見も出るほどですが、うつ状態の人の場合は、どちらかというとネガティブな方向に考えが歪みがちな傾向があるとも言えるようです。

このポジティブイリュージョンによる歪みは、

  ①自己のイメージ
  ②外界の出来事に対する
   自己のコントロール能力
  ③自己の将来

の3つで特に見られるとのことでした。

①の自己のイメージでは、さっきの車の運転技術の例のように、自分は平均以上の能力を持つというような「平均以上効果」や、あるいは自分が貢献した影響を過大に評価する「自己の貢献の過大視」などがあります。

たとえば、夫と妻とで家庭での自分が果たす仕事の割合が何パーセントかをそれぞれに聞くと、2人の合計値は、大抵100パーセントを超えるとのことでした。
そう言えば、私が会社勤めをしていたころ、みんなで話していて、

  仕事はみんなで
  助け合いながら
   しましょう

なんて言っていて、そのことには誰も反対しなかったんですが、よくよく聞いていると結局、

  「だから、私の仕事を
   他の人も手伝って!」

という話だったりして、結局みんなでの助け合いがなかなか… なんていうことが多かった気がしました。

②の外界の出来事に対する自己のコントロール能力というのは、自分には現実以上に状況をコントロールする能力がある、と感じる考え方のことで、たとえばくじのようなものについてさえ、あそこで買えばとかこの番号ならとか、自分には力がありそうに過信してしまう場合があるとのことでした。

これで思い出すのは、女性がちょっと不良っぽい男性を見たとき、

  「私の愛の力で
   彼を立ち直らせる」

と感じてしまうという話を聞きましたが、現実にはなかなかそんなことはないような気がしました。

③の自己の将来は、自分には将来いい出来事は起こるけど、悪い出来事は実感として起こりそうにない、と考える傾向のことで、楽観性バイアスなんて呼ばれていました。
また、計画の実現についても、たとえば、これは1時間で終わるだろうと考えても、実際にやってみると1時間をずっと超えてしまうような、「計画錯誤」という楽観的な考えもその一つです。

ただし、人の考え方はポジティブな方向に偏りながらも、極端な偏りではなく、現実に見合った穏当な範囲内での偏りということでした。
それでも本人は

  「自分は現実を
   正確に捉えている」

と感じてやまないようでした。

これに関して、私には今から考えて赤面しそうな思い出があります。
あるところで、たまたま隣に座った人と話をしたのですが、その人はなんと

  占い師

だったんですね。

そして、遊び半分の形で私の手相を見てくれました。人差し指の長さと中指の長さとの話など、あなたの場合はああですこうです、などいろいろ言ってくれて、結構思い当たることもあったので、面白がって聞いていたのですが、その中で

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  「あなたは頭が良すぎるんです。
   だからあなたが言ったことを
   他の人はなかなか
   理解できないんです!」

なんて言われて、その時はつい

  「なるほど~」

なんて思ってしまったんですね。とってもお恥ずかしい限りです。
後になって知ったんですが、これ、占いの中でよく使われる、いわゆる

  ストックスピール
   (誰にでも当てはまる言葉)

だったんですね。
「あなたは頭が良すぎて…」なんて言われたら、たぶんかなりの人が喜んで信じちゃうと思います。そして、百戦錬磨の占い師だったら、「この人にならこれを言えば喜ぶ」なんて、よ~く分かっているんでしょう。
無邪気に喜んで信じてしまった自分が、いま考えてもまったくお恥ずかしいです。

ポジティブが人に与える影響はどんなことが?

でも、こんなポジティブイリュージョンなんて習性が、人間にどうしてあるんでしょう。
こんな習性があるということは、この習性が人間に何らかの役に立っているから、という気がするんですが、どうやら次のような理由で、

  人間の健康と幸福に役立っている

みたいでした。

a.ポジティブ感情

・ポジティブイリュージョンは、個人が感じるポジティブ感情(幸福感、満足感など)を直接的に促進している。
・同時に、ポジティブ感情を持っていると、自己のイメージ、コントロール能力、将来に対する認識がよりポジティブな方向に向かいやすい。

ということで、ポジティブイリュージョンとポジティブ感情とが相互に高め合っているということですね。

b.人間関係

・ポジティブイリュージョンによって、自分から積極的に交友関係を広げられるようになり、他の人からも好意を持たれやすくなる。

・自分にネガティブなイメージを持っている人は、人との交わりを避けやすく、他者からも避けられてしまう傾向がある。

・また、ポジティブイリュージョンにより、他の人を見る目もポジティブになり、人を助ける行動も増える。

などが指摘されていて、結局、ポジティブイリュージョンは、好ましい人間関係の形成・維持に重要な役割を果たしているようでした。

c.仕事に対する効果

・ポジティブイリュージョンにより、情報処理の効率があがったり、クリエイティブな能力が高まるなど、知的能力にプラスの影響があると考えられている。
・特にポジティブ感情がクリエイティブな能力へのプラスの影響は、多くの研究で実証されている。
・また、自分に対する認識がポジティブな人や、コントロール能力を信じている人は、うまくいかないことがあっても、長時間その課題に熱中することができ、自分の将来に楽観的なことは、強い動機付けと持続力の基盤となる。
・他にも、建設的な思考や自己効力感などで、課題を処理する能力や、姿勢にプラスの影響をもたらし、結果的によりよい仕事ができるようになると考えられている。

こんな感じで、仕事に関してもとても役立っているようでした。

d.対ストレスで

・自分にはストレスを乗り越える力があると信じることで、ストレスの苦痛を低く見積もることができる。
・ストレスを正面から受け止め、その問題を乗り越えるための対処法をいくつも考え、実際に試してみることができる。

こういった能力は、社会のなかでつぶれずに生きていくための、必須の能力だと言えるとのことでした。

e.身体的な健康状態

・ポジティブイリュージョンによって、健康的なライフスタイルが作られやすく、また免疫機能の低下を抑えることで、結果的に病気の発生や進行が抑制される。
ポジティブイリュージョンが、人のこころだけでなく、身体的な健康の維持・促進にも大きく影響することが示されている。

こんな感じで、通常私たちがほとんど意識していないポジティブイリュージョンが、実は人間の健康的な生活のためにとても役立っている、ということでした。

それでもポジティブに生きるためにはどんな方法が?

このポジティブイリュージョンは、特別に何かをする必要があるという意味ではなく、人間が本来持っている性質というわけです。

たとえば、突然大きな音が聞こえてくれば誰でもびっくりするし、相手の人が笑顔になれば誰でも安心するというような、誰にでも備わっている性質なんですね。
つまり意識的というより、無意識での考えというわけです。

それでも、ついネガティブに考えてしまう習慣がついてしまった人の場合は、この恩恵にあずかれなくなってしまいます。
どうやったらまたポジティブに考えることができるようになるか、というのは結構難しそうに思えるんですが、テキストの中で紹介されていたのは、アメリカ心理学会の会長の言葉として、

  「私たちの心が示す
   ネガティブな側面の改善のみに
    焦点を当てるのではなく
   ポジティブな側面にも目を向け
   それを伸ばしていくことこそ
    私たちの幸福感やQOLを
    高めるために重要である」

 (QOL:クオリティ・オブ・ライフ)

が紹介されていました。
ざっと言ってしまえば、

  弱みをなくすんじゃなくて、強みを伸ばせ!

ということですね。

私が個人的に考えるには、よりポジティブになるためには、

  1.ポジティブな人の近くに行く

  2.「ついてる、ついてる」とつぶやく

  3.「感謝日記」を書く

なんていうのはどうかな? なんて思っています。
他の誰かをポジティブにするんだったら、

  自分がポジティブになって
   手本を示す

ことあたりぐらいしか、いまはちょっと思い浮かびません。
あ、それともうひとつ、同じく放送大学の社会心理学の中の

  「自己開示」

なんていうのも、いいかもしれませんよ。

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