無意識ってなんでしょう。
無意識ってどこにいて、何をしてるんでしょうね。
無意識のうちに手に持ったペンをくるっと回しちゃった、無意識にスマホをいじってた。
こんな、無意識に何かをしちゃった、なんていう経験は誰にでもありますよね。
でも無意識って、それだけのことなんでしょうか?
もしかしたら無意識って、もっと、ずっと奥深いものかもしれません。
無意識の世界を、もっと探検してみませんか。
片足立ちとレーニング
私は毎日片足立ちのトレーニングとスクワットをやってます。健康維持のためです。
片足立ち、15秒ずつ交互に3分間やってるんですが、結構難しいですよ。
片足で立つと、すぐにフラフラ、オットットとなって一瞬たりとも気を抜けません。
あっ、あぶない!
思わず左手があがったり、その手がくるくる勝手に回ったりするんです。
気づいたら、フラフラするたびに、体中のあちこちの筋肉が勝手にピクピクッと動いているのが分かります。
これ、
不思議です!
この体中のそっちこっちの筋肉、
どうして勝手に
動いてるの?
フラフラするたびに、
そこの筋肉、頑張って!
次はこっちの筋肉の番だよ
なんて、いちいち考えてるつもりは、私はさらさらないんですが!
そう言えば、アメリカの精神科医のミルトン・エリクソンという人が、赤ちゃんがどうやって立つことを覚えるのかを観察したようでした。
赤ちゃんが立った!歩いた!
エリクソンの観察によると、赤ちゃんはまずは何かにつかまって、身体を引き上げるようです。
そして、偶然足に体重をかけて、膝をまっすぐにすることを覚えます。でもすぐに膝は崩れます。
何とか膝をまっすぐにすることを覚えると、今度はお尻が崩れてしまいます。
悪戦苦闘の結果、何かにつかまりながらも、何とか両足で身体を支えます。
そうこうするうちに、何にもつかまらずに立つことを覚えます。
右、 左、
右、 左、 ・・・
足を交互に動かして歩けるようになるには、ずいぶん練習が必要です。
涙ぐましい練習の結果、赤ちゃんもとうとう歩けるようになりました。
でも、
オットット
危ないよ!
歩き方を覚えたばかりの赤ちゃん、足取りがちょっと頼りないですね。
何かにちょっとつまずいただけで
スッテンコロリン
と、あっさり転んでしまいます。
ところで、これ、
何かに似てませんか?
あれです、あれ!
そうです、
ロボット
です。
二本足のロボットを、ちょっと立たせてみます。
立つかな?
お、立った立った!
と喜んだのもつかの間、誰かがちょっと触ったら、
スッテ~ン
あわれ、転んでしまいました。
でも赤ちゃんは違います。
立つ練習や歩く練習をしながら、2年たち3年たち、幼稚園に入るころには鮮やかに立っていることができます。
見事に歩くこともできます。
素晴らしい!
ですね。
大人ともなれば、立っているだけならずっと安定して立っていられるんですが、でも
ロボットには
ずっと立ってることは
できません。
誰かがちょっと押しただけで、すぐ倒れてしまいます。
これ、人間と同じ形、同じ大きさのロボットを想像してもらえればすぐ納得できるんじゃないでしょうか。
いよいよここで無意識の登場です
では、人がどうして安定して立っていられるのか?
それはいつでも、どの瞬間にも身体全体で微調整を行っているからなんです。たとえば、
身体が右に傾いた
と感じたら、すぐに
身体を左側に
戻そう
という動きを、いつもやっているんですね。
身体のバランスを、身体中で感じ、眼でも感じ、瞬時に身体中の必要な筋肉を動かします。
でも、
自分でそんなことをやっているつもりなんて、まったくないですよね。
じゃあ、
誰がそんな高度な
ことをやってるの?
ということになってきます。そこで満を持して登場するのが、
無意識
なんです。
赤ちゃんのころに、初めて立ち、初めて歩く時には、こうするのかな? ああするのかな?といろいろ考えていたんですが、
歩く練習が十分された後には、もう考える必要はありません。
考え事をしながらだろうと、歌を歌いながらだろうと、中にはスマホを見て何かつぶやきながらでも、しっかりと歩くことができるんですね。
実は、人間の行動の多くは無意識です
自転車に乗るのも、車を運転するのも、最初はあ~だこ~だと意識で考えながら練習しますが、
すっかり覚えてしまった後では、もうハンドルの動かし方だとかブレーキの掛け方だとか、いちいち気にしちゃいません。
彼のことや彼女のことを考えながらでも、しっかり乗りこなせています。
ところで話は変わりますが、あなたは、
「王様の耳は
ロバの耳」
と口にすることができますか?
んっ?
言えましたか?
言えた! おぉ~! でも、どうして言えたんですか?
いや、
そんなの
当たり前でしょう!
なんて思ってるんでしょうね、きっと。
でも、ちょっと考えてみてください。
この音を出すために、
口や、
喉や、
舌や、
肺や、
・・・
いろんなところのいろんな筋肉を、どれだけ正確に、タイミングを合わせて動かす必要があるのか。
もちろん赤ちゃんのころは話すことなどできませんでした。
あ~、
う~
なんて言いながらも、少しずつ声の出し方を練習してるんですね。
そしてそのうち、
マンマ
パッパ
みたいな簡単な音の出し方を覚えます。
そして1歳半、もう考えなくてもほとんどの声が出せるようになりました。
もう、声の出し方は無意識が全部やってくれます。
すると、次に覚えることは、
言葉
ですね。
赤ちゃんは、次から次へと言葉を覚えていき、話すようになります。
これ、
語彙爆発
と言うんだそうです。
いったん無意識が覚えてしまったことは、もう考えなくても「無意識にお任せ」でできてしまうんですね。
だから、子どもの頃に覚えた話し方が、「河内弁」だったり「東北弁」だったりと、生涯残ったりするんでしょうね。
どうやら、人間(動物も?)は何かを覚える時には意識して考えても、
一度覚えてしまうと、無意識が覚えてしまい、後は全部無意識がやってくれるようです。
もっとも、無意識の中にも、全部が全部覚えたものだけではなくて、
思わず眼を閉じる
とか
大きな音に
ドキッとする
みたいな、本能的な無意識もありますね。
生後間もない赤ちゃんの口に何か触れるものがあると、赤ちゃんは一生懸命に吸おうとします。(吸啜反射)
これなんかも、生まれ持った本能からくる無意識なんでしょうね。
まとめ
人間の行動の大半は、無意識の力が行っているようです。(多分他の動物も)
最初は頑張って覚えたことも、いったん覚えてしまうと無意識の領域に入ってしまい、
次は全く意識しなくてもできるようになっているんですね。
そして、人によって覚え方がそれぞれ違うので、無意識が覚えていることも違う、
これがいわゆる
クセ
なんですね。