人間には本能があります。いや、動物にも本能はあります。
そして、その本能の数は膨大です。(たぶん)
人間を人間たらしめる本能のひとつに
「知りたい」
という本能的欲求があります。
新しいことを知りたい、珍しいことを知りたい、他の誰も知らないことを知りたい…
人間の知識に関する欲求はとても強いものがあります。
小さな子供のころは、周囲には知らないことだらけなので、毎日のように新しいことを知って行きます。
毎日が興味深々の連続です。
そして大人になって、新しく知ることの材料・ネタが少なくなってしまうと、今度はクイズに手を出してまで新しいことを知るチャンスを求めます。
そんな
知りたい
という本能的欲求について考えてみましょう。
(注.ここでの内容は個人的意見です)
終わりなき知りたいという欲求
小さな子供の「知りたい」という欲求はとても素直に表れます。
初めて目にするものを見ると、
何だろう?
とばかりに、じっと見ます。
初めて耳にする音を聞くと、
何だろう?
とばかりに、じっと聞き耳を立てたり、そちらを見たりします。
ちょっとした色遣いの違いだったり、ちょっとした形の違いだったり、実に目ざとく見つけます。
ちなみに、赤ちゃんの視力を調べる時は、この特徴を利用しています。
初めてみるものに対してとても興味を惹かれて、ついそちらをつい見てしまうのが赤ちゃんです。
この「そちらを見る」かどうかで、見えたかどうかという「視力」を測ろうということですね。
小さな子は何にでも興味津々で、何にでも手を出します。
手を出して、触って手に取って、振ってみて叩いてみて、ある時は匂いを嗅いで、とにかく新しいもの、新しいことにはとても興味を持ちます。
そして、
子供は飽きっぽい
とも言われます。同じことを長くは続けません。
これって、一見大人から見て同じことをして遊んでいるように見える時でも、実は子供にとっては常に新しいことに挑戦しています。
たとえばブロックを積んで、倒しているような時でも、経験済の大人からすれば同じことをしているように見えても、実は子供は、
こっちから押しても倒れるのかな?
この色を押しても倒れるのかな?
そっと押しても倒れるのかな?
他のブロックをぶつけても倒れるのかな?
・ ・ ・
こうやって、常に新しいテーマを自分で決めて試し、その結果を確認しています。
子供は飽きっぽいですから、意味なく同じことを繰り返すことはありません。
また、子供にとっては、身の回りのすべてが未知の世界です。
知りたい!
という欲求を満たすのに事欠きません。
でも大人になるとだんだん新しく知ることが少なくなってきます。
やや欲求不満気味になってきてしまいそうです。
知りたいという欲求はいつできたのか
人類の歴史の中で、この
知りたい
という本能的欲求は、いつごろから登場したのでしょうか。
「人類誕生」
という番組の中で紹介されていたのは、ホモ・サピエンスがある時、食べるものがなくなってしまい、絶滅の危機に瀕した時のことでした。
何とか新しい食料を開発しなければ
人類が絶滅してしまう
という場面のことでした。
この「知りたい」という欲求、つまり
「好奇心」
がとても役立ちました。というか、偶然「好奇心」という本能的欲求を持った人種が、絶滅の危機から逃れることができた、ということなのかもしれません。
この好奇心のおかげで新しい食料
「貝」
を発見し、絶滅の危機から脱出できたのでした。
おそらくその時点では存在していたであろう他の本能、
教えたい
誰かの役にたちたい
感謝されたい
喜ばれたい
真似をしたい
などの本能的欲求にも後押しされ、人類に広まった結果であるとも言えるでしょう。
この「好奇心」という欲求によって、もしかしたら多くの若者の命を事故で奪ってしまった、などということがあったかもしれません。
でも、好奇心による素晴らしい発見が、その後のたくさんの人の命を救ったであろうことも言えます。
そうすると、今から約5万年前の、地球環境がとても厳しかった時期に自然淘汰が行われ、「知りたい」を始めとするたくさんの社会的な本能を持った人種以外が絶滅してしまい、「教えたい」「誰かの役にたちたい」などの社会的本能を持った、ごく限られた人種だけが生き残ったのかもしれません。
ネアンデルタール人もその時に絶滅していました。
知りたいという欲求の活用法
NLP(神経言語プログラム)という研究分野があるのですが、ここでは「知りたい」という人間の欲求をうまく利用して、自己啓発に結び付けようという研究も行われているようです。
たとえば
空白の原則
というのは、人間は一度「問い」を持ってしまうと、どうしても「答え」を知りたくなってしまう、という原則です。
先ほどの人類絶滅の危機に瀕しての
新しい食料はないか?
という「問い」は仲間全体での切実な問いだったことでしょう。
この「問い」を持つことで、常に意識しなくても、無意識ではずっと考え続けます。
何かを見つけるごとに、
これは食料になるだろうか?
これを食べても害はないだろうか?
ということを、無意識のうちに考えてしまいます。
そこで自己啓発の世界のNLPでは、
成長には問題意識が大事
と説明しています。
自分自身に何かを問いかけます。その時の問いかけ=質問の質が大事で、
質問が成功の習慣をつくる
質問の質が成功のカギ
などと言われます。
「どうして自分は
ダメなんだろう?」
という問いの答えよりも、
「どうすればこの問題を
クリアできるんだろう?」
という問いの答えの方が役立つ可能性が高く、つまり「質問の質」が成功へのカギ、ということでした。
参考
(人間って何だ・本能の世界)
(人間の本能 教えたい)
(人間の本能 与えたい)