認知症と生きる 認知症の医学的な特徴1、中核症状

放送大学・「認知症と生きる」第2章

  認知症の医学的な特徴① 様々な疾患
  認知症と生きる 認知症の医学的な特徴1[2章A] 中核症状
講義内容の整理

最初にちょっと面倒な認知症の定義からです。

  「脳の障害によって生ずる持続的な認知機能の障害であり、
   それが社会的あるいは日常的な生活を行っていく上で、
   明らかに障害をきたすもの」

ということです。

「脳の障害で日常生活が難しくなること」ということのようですね。

昔は「痴呆」と呼ばれたりしたのですが、これは侮蔑的だということで「認知症」になりました。

脳の障害の結果としていろんな症状が現れるのですが、大きく分けて

  中核症状 と 周辺症状

に分かれるようです。

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中核症状と周辺症状

認知症で現れる症状には「中核症状」と「周辺症状」とがあります。そして、

  中核症状:症状の中核をなす認知機能障害

  周辺症状:興奮や攻撃性、抑うつなどの感情障害
       睡眠障害、徘徊などの行動異常

とされています。

ざっと言ってしまえば、アルツハイマーなどの病気のために発生する症状が中核症状で、その中核症状が原因で起きるいろんな事態が周辺症状と言えそうです。

たとえば記憶障害という中核症状の結果「もの忘れ」が発生し、大切なものをしまった場所やしまった記憶をなくした結果、誰かが盗ったに違いない、という「物盗られ妄想」という周辺症状が起きたり、

「見当識障害:いつ、どこ、だれ、が分からなくなる」という中核症状のせいで、将来どうなるのかが見通せないことから、「不安・焦燥:落ち着かない、イライラしやすい」という周辺症状が発症するなどです。

2018年現在ではこの中核症状を改善するための薬はなく、症状の進行を遅めるための薬が数種類あるという状況です。

ただ、いろいろと問題になっている周辺症状に関しては、適切なケアをすることで押さえられることはずいぶんあるようです。

認知症の中核症状

中核症状は病気によって直接発生する症状で、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失行、失認があります。

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 ・記憶障害(新しいことを覚えられない)

記憶障害は認知症ではいちばん重要な症状で、アルツハイマー型の認知症ではほとんどの人に認められます。
そして、症状は進行します。

記憶は、自転車の乗り方などのように、体で覚える記憶は比較的消えなくて、夕食を食べたなどのエピソードの記憶を忘れてしまいます。
それも、昔の記憶は覚えていても、新しく記憶することができなくなるので、新しい出来事を忘れてしまいます。

 ・見当識障害(「いつ、どこ、だれ」が分からなくなる)

時間や場所、人について分からなくなってきてしまう症状で、「季節感がなくなる」や「今何時なのかが分からなくなる」という状況になります。

進行すると、家族であっても「目の前の人が誰か分からなくなる」ということにもなります。

 ・実行機能障害(段取りが立てられない、計画ができない)

物事を計画を立てて遂行することができなくなります。よく出される例では「料理」です。

料理の献立を考える時、健康な人ならば冷蔵庫の中にあるものを考えて食材を決めますが、認知症になると冷蔵庫の中をすっかり忘れて、同じものを何度も買ってきたりするなどがよく起きるようになります。

さらには、いざ食事の準備をしようとする段階になると、買ってきた材料のことも忘れたりしてしまう、ということが幾度となく起こることになります。

 ・その他の中核症状

  失語(物の名前が出てこない)
  失行(服の着方が分からない、道具が使えない)
  失認(物が何か分からない)

失語は、今までは読む、書く、聞く、理解するといったことができたのに、できなくなってしまうことを言います。
アルツハイマー型認知症の場合は、話は流ちょうに話せるのに、物の名前が出てこないということが多く見られます。
ただし進行とともに、会話の理解も難しくなります。

失行は、運動機能に障害はないのにできなくなることを言います。
歯ブラシと歯磨き粉を持ったのに、歯が磨けない(どうすればいいのかが分からない)などです。

失認は、物を見たり、聞いたり、触ったりして、それが何かを判断するのですが、それが何なのかが判断できなくなります。

参考

  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴1[2章A] 中核症状)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴1[2章B] 周辺症状)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴1[2章C] 原因疾患)

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