認知症と生きる、人とのかかわり② 生活支援・生活環境

放送大学・「認知症と生きる」第10章

  認知症の人とのかかわり② 生活支援
  認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章C] 生活支援・生活環境

講義内容の整理

生活環境という意味では、

認知症は徐々に進行して、いろいろなことが分からなくなるため、

それまでになじんだ場所、なじんだもの、なじんだ人など、なじんだ生活がとても大切になってきます。

そのため、その人がいままでどのような生活を送ってきたのかを知ることは、介護をする上でもとても大事なことになります。

ここでは、介護のための生活環境作りの話が中心です。

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認知症ケアの原則

まず「認知症ケアの原則」からです。

認知症の人の行動や気持ちを理解するために、自分自身の行動や気持ちをしっかりと把握するということは、とても大切なことと言えます。

 ・自分自身の体を眺めて、その仕組みをわかること
 ・自分自身の感情の動きを眺めること
 ・自分自身の技術力を見極めること
  (できること、できないこと、どうしたらできるのか)
 ・自分自身の普段の生活を振り返ること
 ・これまでどう生きてきたか(決定してきたか)を知ること
 ・人との関係づくりをどのようにしているか知ること

認知症ケアの原則は、

  「とにかく 自分を大切にね」
  「自分自身をしっかり分かってね」

ということから始まります。

自分の体を知ることで、身体の不具合を訴えられない認知症の人の周辺症状の意味がわかり、自分の感情の動き思いを知ることで、認知症の人と共感できるようにもなります。

また、普段の生活を振り返ることで、介護される人の「当たり前の生活」を大切にできるでしょう。

生活環境

生活環境(安心して過ごしたい)

 ・自宅に近い生活空間の設定
 ・生活史を取り入れた道具などの活用
 ・身近な動物との共棲
 ・常に今を伝える道具の活用や庭などの工夫
 ・バリアフリーを取り入れた安全で機能的な環境調整

認知症の場合は、施設というよりは自宅に近い生活空間ということが大切です。

認知症は徐々に進行して重くなります。その時にはなじんだ環境、なじんだ人など、なじんだものがとても落ち着きます。

例えば人によっては、足踏みミシンだったり、日本人形だったり、茶だんすなどが必要になります。

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犬などの動物と暮らすこともまた身近なことです。動物と暮らして血圧が下がったなどという研究結果もあるようです。

常に今を伝える道具としては、カレンダーや季節の花や果物を置いたり、庭に季節の花が見られるような工夫も必要なことかもしれません。

また、時計なども見やすい所にあることが望ましいです。

バリアフリーも近年はよく聞かれる言葉ですが、手すりや段差の工夫も必要になってきます。

デイサービスセンターお多福の例

茨城県にあるデイサービスセンターお多福の例ですが、

当たり前の、どこにでもあるようなおうちの中で、デイサービスが行われています。

みんなが一か所に集まって、スタッフが新聞を読み、みんなで意見交換をしていました。地域になじんだ記事での意見交換です。

  「でね、
   供述が二転三転してるんだって

   だから まだね
   慎重に 今…」

みたいな感じでした。

テーブルを囲んで椅子に座って、みなさん熱心にスタッフの方の話に耳を傾けている様子でした。

玄関は、段差はあるのですが、みなさんなじんでいるようです。

壁には大きな紙に

  アクティビティ予定表

が書かれて貼ってありました。

  ◎月◎日 午前
    体操(衣替え)
    すごろく作り
    ××体操

  ◎月◎日 昼食
    ご飯
    肉じゃが(豚肉・じゃが芋・
     人参・玉ねぎ・絹さや・白滝)
    もずく酢
    ・ ・ ・

などとびっしりと書いてありました。

あとは季節が春ということで、

  桜が描かれた掛け物

も壁に貼られていましたが、これは利用者の人たちがスタッフと一緒に作ったということでした。

この講義を受講して

以前、「プロフェッショナル」という番組(2008年11月再放送)

  介護は、ファンタジー 認知症介護 大谷るみ子

で、認知症介護のプロとして

  大谷るみ子さん

が北欧デンマークに行って、認知症介護の現場を見た時に、デンマークの認知症介護の専門家の言葉で、

  「人はみな、それぞれの人生の
   リュックサックを背負っています」

  「その中身を知らなければ、
   認知症の介護はできません」

がありました。

当時はこの言葉の意味があまりよく分かりませんでしたが、いまは当時よりは分かるようになった気がします。

その人の部屋では、なじんだ音楽が流れ、なじんだ本が置かれていました。

家族から聞き出してきたとのことでした。

参考

  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章A] 生活支援・デイサービスへ行かない!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章B] 生活支援・デイサービスへ行く!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章C] 生活支援・生活環境)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章D] 生活支援・食事、排泄)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章E] 生活支援・姿勢と動作)

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