認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴、行動症状

放送大学・「認知症と生きる」第8章

  認知症の人の行動と心理的特徴の理解③
  認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴[8章C] 行動症状
講義内容の整理

認知症の行動症状の中で、対応が難しいことのひとつに「徘徊」があります。

アルツハイマー型認知症の場合は最も長期間続く行動症状です。

「徘徊」はかつて「目的もなくうろうろと歩く行動」と考えられてきましたが、

近年は徘徊の多くは何らかの目的があり、その目的に向かっての行動であると考えられるようになりました。

たとえば、「会社へ行く」だったり、「子供を迎えに行く」などだったりします。

また、認知症の人による介護する人だったり、施設での他の利用者の人に対しての攻撃的行動があります。

この攻撃的行動も、介護する人にとっては大変やっかいなことです。

ここではこれらについて考えて行きます。

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徘徊への対応

外へ出て行こうとする認知症の人に、一緒について行くということは結構多いことですね。

徘徊には危険が伴いますので、危険を避けるためには確かにいい方法と言えるでしょう。

ただ、その前にどうして外に行きたがるのかの理由を知ることも大事なことです。

何故外へ出て行きたがるのかが分かったら、それに対しての対応を考えます。

たとえば「会社へ行く」という人に対して、

  あなたはとっくに退職しています

のように、事実を本人に伝える方法があります。

このようなやり方で納得する場合もありますが、納得してくれない場合の方が多いでしょう。

そんな時、ちょっとした嘘をついて認知症の人を騙すようなことをしたくなるかもしれませんが、嘘はやはり望ましいこととは言えません。

ただ、

  「その前にトイレを
   済ませましょう」

といったように、ちょっと気をそらすのはいいかもしれません。

その間に、徘徊しようとしていたことを忘れてしまうこともあるでしょう。

あと、徘徊の理由として、自分の家にいながら、

  家に帰る

という場合も結構ありますが、これは

  自分の居場所

のなさからくる場合があります。

このような場合は、

  ここがどこだか分からない

ということの他に、

  居心地が悪い

と感じている場合もあるでしょう。

あるいは、その人が探そうとしている家は現在の家ではなく、

  子どもの頃住んでいた家

ということもあります。

このような人に真実を伝えてうまくいけばそれでいいでしょうが、なかなかうまくは行きません。

そんな時は、できるだけ普段から

  ここが自分の居場所である

という感覚を持ってもらえるような努力が大切になります。

認知症の人にとっては、

  馴染みの環境
   馴染みの人

が大切と言われます。馴染みの人になれるような努力が大切になります。

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あとは、真の意味では納得できないかもしれませんが、

  ここにいても大丈夫

  ここにいれば安心

という感覚を持ってもらえるように、住環境や人の環境を整えることが介護者ができる方法となります。

そのためには

  怒ってはいけない!

ということは、とても大事なことかと思います。

攻撃的行動への理解と対応

攻撃的行動は、他の行動・心理症状と同様、すべての認知症の人に現れるわけではありません。

攻撃性は言語的攻撃性と身体的攻撃性があり、その背景には認知症の人の不快感や不満足感があると言われています。

一般には重度の認知機能障害のある人に多く、男性に多いと言われます。

また、介護者が認知症の人に対して、本人の能力を超える形で何かをさせるようなストレスを加えた場合に生じるとも言われます。

そして、一般に認知症の人にみられる攻撃的行為は、

  不適切なケアの結果

として出現することが多いようです。

つい、「原因は認知症の人本人にある」と捉えがちですが、攻撃的行為は介護者側の責任であることも多いようです。

たとえば、認知症の人に対して

  痛みの伴うケア

を行った場合、攻撃的になることでしょう。

あるいは、排泄介助や入浴介助、体位交換などで、

  衣服を脱がせたり
  身体に触れるようなケア

を行う際に、

  十分な説明をしなかったり
  無言で身体に触れようとしたり

という場合に、自分が何をされるのか分からないといった恐怖から、攻撃的な反応が現れることがあります。

介護する人は、認知症の人が安心できるような声掛けやまなざしをもった対応が大切になります。

これに関しては、テレビ番組の「ガッテン!」で、介護する人が

  認知症の人の正面から、
   しっかりとアイコンタクトをとって
   何をしようとしているのかを
   説明する

ということで意志の疎通が図れる、ということの説明がありました。

これなどは、とても参考になると思います。

ただ、細心の注意でケアに当たっても攻撃的行為に遭遇することもあります。

特定の介護者に対してだったり、施設での特定の他の利用者に対してだったりのような場合、

その人との関係性に問題があるのか、過去の誰かと間違えているかのどちらかと思われます。

その原因をしっかりと探ることはとても重要になります。

参考

  (認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴[8章A] 捉え方)
  (認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴[8章B] 基本的考え方)
  (認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴[8章C] 行動症状)
  (認知症と生きる 認知症の人の様々な行動の特徴[8章D] 心理症状)

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