認知症と生きる、人とのかかわり① 認知症ケアクリニック

放送大学・「認知症と生きる」第9章

  認知症の人とのかかわり①
  認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章E] 認知症ケアクリニック

講義内容の整理

茨城県にある「お多福もの忘れクリニック」というクリニックの院長先生のインタビューが紹介されていました。

このクリニックの院長先生は、日本で最初の行われた

  「在宅痴呆性老人に関する
   精神医学的実態調査」

の調査員をされた方です。

また、

  「認知症介護研究研修センター」

のセンター長でもあり、認知症介護の質の向上の研修をされている方です。

(2015年より前ですが)年間で約200人の新患の患者さんが受診するとのことでした。

スポンサーリンク

もの忘れクリニックインタビュー

茨城県で先進的な認知症ケアの取り組みを行っている

  デイサービスセンターお多福

は同じ敷地内に保育園があり、お年寄りが子どもたちと一緒に遊んだり、デイサービスに通う際に保育園に寄って手を振って挨拶をするということが日常的です。

そして併設されているのが認知症専門のクリニック

  お多福もの忘れクリニック

で、ここの院長先生のお話しです。(2015年以前の話です)

このクリニックには、年間約200人の新患が受診をしますが、1/3はケアマネジャーからの紹介ということでした。

家族の人が生活の変化に気づいてから受診に至るまで、約3年弱かかっています。本当はもっと早い方がよいとのこと。

(どうしてか?)

おそらく、かかりつけ医が認知症の専門医を意識していないからだと思われます。
かかりつけ医が認知症を見るときの手順を理解していれば、専門医のアドバイスを受けることができます。

そのため平成18年から、国がかかりつけ医を対象とした

  「認知症対応力向上研修」

を始めました。ここでは、

  診断、治療、地域での連携

に関しての講義を受けます。

(インタビュー当時)2万人を超えるかかりつけ医の先生たちが既に受講しています。

さらに、平成23年度からは

  「ライフサポート事業」

というプロジェクトも始まっています。

これは、認知症の人の生活を支えるためのプロジェクトです。

つまり、かかりつけ医だけではなく、かかりつけ医がどうやって他の職種の人たちと連携できるか、ということを実際の演習の場などを通して学んでもらうものです。

(受診まで3年というのは?)

例えば、自分の親が認知症ではないかと思っても、医療機関や地域包括支援センターなどの専門的な機関に相談に来ない人たちが、全国で23%います。

(このクリニックがある)茨城県は最も多くて、58%が相談に来ていません。

(家族へのアドバイスは?)

スポンサーリンク

熱心な人ほど、認知症の人を一生懸命

  説得する
あるいは
  説明する

といったことをします。

説明すれば分かってくれるのではないか、と思ってする説明も、とてもエネルギーが必要になってしまいます。

家族にそのつもりがなくても、認知症の本人は

  叱られている!

と感じてしまい、関係が悪くなることで、良くない結果となってしまいます。

(隣がデイサービスセンターになっていることの利点は?)

初めて受診する人の中には介護保険の申請をしてない人も多く、デイサービスの利用を勧めても、利用したことがないので、どんな所かが分からない人が多い。

そんな時でも、隣に行って見ればすぐ分かるし、体験もできます。

そこでは、お茶を飲んだりおしゃべりをしていたり、ゲームをしたりしています。

ここのデイサービスセンターでは、時々子供たちが遊びに来ていることもあります。

また、認知症の人を見る際の話で、来院した時は緊張しているせいか、シャキッとしている場合が多いですが、デイサービス等で慣れてくると、その人本来の姿がより詳しく見れることも利点と言えます。

ナースの方のインタビューで

このクリニックに来院する時、(病気のため)本人は険しい顔のことが多いので、できるだけ明るく接しています。

家族がいない時に、本人の話を聞いてあげたりします。

中には家族だけが先生と話すこともあり、その時は本人がひとりにならないよう、話をして和ませます。

認知症は症状が進むという事実があるので、家族には「できないこと」が目につき易くなっているので、

家族の話も聞いてあげるよう努めています。

(同じ敷地内に複合した施設があることの利点は?)

利点はおおいにあります。

お年寄りは子供たちに興味津々で、普段あまり動かない人も「何がいるの?」という感じで見に行ったり、一緒に体操をやったりします。

中には、受診でここを訪れるのを楽しみにしている人もいます。

(他の人に伝えたいことは?)

ひとりひとりの家族、患者さんに関わることで、認知症も楽しくケアができます。

この講義を受講して

認知症という徐々に進行する病気は、お医者さんだけではどうにもならないということを感じます。

病気の進行を薬で遅らせることはできても、症状の多くは「ケア」によることが必要であり、

ここのデイサービスセンターのような存在とケアのノウハウがとても大事なんだということを感じました。

参考

  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章A] デイサービスセンターで)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章B] 認知症ケアの歴史)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章C] 認知症ケア福岡宣言)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章D] 認知症の支援施策)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章E] 認知症ケアクリニック)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。