放送大学・「認知症と生きる」第9章
認知症の人とのかかわり①
認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章A] デイサービスセンターで
講義内容の整理
「認知症と生きる」の9章、「認知症の人とのかかわり①」の最初は、先進的な認知症ケアの取り組みを行っている、茨城県水戸市にある
「デイサービスセンターお多福」
での取り組みの紹介です。
このデイサービスセンターの特徴は、保育園が併設されていて、認知症のお年寄りと子どもたちが触れ合って過ごしていることです。
初めは戸惑っていた保育士さんや子どもたちも、すぐにすっかり打ち解けていい世代間交流ができているようでした。
共生型介護
お年寄りや障害者、子どもたちが一緒に過ごす場については、以前にも「共生型介護」として、テレビでの放送もありました。
このデイサービスセンターお多福も、認知症のお年寄りと保育園の子どもたちが、互いに交流することのできる「共生型介護」に近い形態のセンターです。
交流の時間になると、子どもたちがデイサービスセンターの方にやってきて、
グーパー グーパー
グーチョキパー
などと、お年寄りや保育士さん、センターの職員さんなどと一緒に遊んでいました。
男性のお年寄りの人も一緒にやっていましたが、目の前に子供たちがいることで、遊びの輪に加わりやすいように見えました。
子どもたちが中央にいて、お年寄りたちが周囲を囲むように椅子に座っていました。
このデイサービスセンターのあり方について、センターの職員の方によれば、
子どもと認知症の人が関わるとき、職員は保育士さんに、
認知症の人がいまどういう状態か
ということを具体的に説明している、ということでした。
ただ、特別に保育士さんに対して認知症の教育をするといったことはないとのことでした。
認知症のお年寄りにとっては、近くに子どもたちがいることで、自分から保育所に行って子供たちに挨拶をしてからデイサービスに入るという、自分から何かをするという行動が増えていて、
さらに、認知症の人たちが一生懸命子供の名前を覚えようとする努力がみられるということでした。
「この子は何だっけ?
名前が思い出せないけど
名前で呼んであげたいな」
という言葉を何度か聞いたそうです。
子どもたちがいるというのは、お年寄りたちにとっての楽しみであり、
アクティビティーケア
のひとつと言えると考えている、とのことでした。
それと、保育園の先生たちにとっても、認知症の人たちのイメージがずいぶん変わったとようです。
子どもたちや介護のスタッフを通して認知症の人と関わる中で、認知症の人は「大声を出す」、「徘徊する」、「暴力行為がある」などのイメージだけではない、
認知症の人たちも、子どもたちとちゃんと接してくれる、優しい言葉をかけてくれる、といったことがリアルに納得してくれたようです。
保育士さんも、認知症の人に対して
「何でそんなことを何回も言うの?」
ではなくて、
同じことを聞かれれば
同じように答える
ということができるようになったとのことでした。
子どもと触れ合う時の、認知症の人の笑顔がとても印象的でした。
保育士さんの反応
デイサービスセンターに併設されている「お多福キッズガーデン」の保育士さんの世代間交流に関する話です。
おじいちゃん、おばあちゃんと手を取って一緒に体操をしたり、畑で何かを育てたりという、触れ合っての交流ができるのはいいことです。
最初は認知症が分からないため、子どもが突然向かっていくことにビックリする認知症の人がいて、子どもの方が怖がる場面もありましたが、
最近では子どもたちも
「あのおじいちゃんの所に
行きたい」
とか、顔を見たら飛びついて行ったりするように、大きく変化しています。
保護者の人も最初は不安に思ったりした人もいたのですが、子どもたちの「おじいちゃんと一緒の体操が楽しい」といった変化を目にすることで、安心するようになったそうです。
時間とともに、保護者にとっても子どもたちにとっても、いいものになってきたことは確かなようです。
参考
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章A] デイサービスセンターで)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章B] 認知症ケアの歴史)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章C] 認知症ケア福岡宣言)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章D] 認知症の支援施策)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり①[9章E] 認知症ケアクリニック)