放送大学・「認知症と生きる」第15章
地域で支える・6企業
認知症と生きる 地域で支える[15章F] 6企業
講義内容の整理
認知症を地域で支えようというための活動
の中で、医療や介護関係の人だけでなく、地域や企業などいろんなプレーヤーが登場して、認知症を社会で支えるための活動をすることを目指していました。
ここではその中で企業の立場から参加している、コクヨと富士通の二人の方のお話しがありました。
企業の立場でどんな風に地域で支える認知症の活動に参加しているのかのお話しです。
コクヨ
地域というキーワードで認知症の課題に取り組むためには、さまざまな人が参加が必要になります。
そんな取り組みのひとつ
認知症フレンドリージャパン・サミット
に参加している企業ひとつとして「コクヨ」があり、ここではその担当の方のお話しです。
・認知症と文房具のつながり
このサミットに参加する狙いは?
認知症というよりは、文房具を通じて高齢者の方に生活を楽しんでもらおう、ということでの新規事業を立ち上げようというのが狙いです。
そのための切り口として「認知症」があると思い、このサミットに参加しました。
・何か新しく見えてきたもの
あるいは発見したことは?
ひとつは認知症の予防ということで、文房具が活躍できるかもしれないということです。
50代の社会人と高齢者との親子関係の再認識することにも、文房具が利用できるかもしれない、という発見がありました。
・認知症に企業家関わることの価値は、
企業の人はどう考えていますか
普段の生活の中で、ハッピーに学ぶ、働くといった意味で、高齢者も含めての貢献をしたいと思っています。
認知症を治すことはできませんが、予防することや、なっても幸せに生活できるための貢献はできると思います。
富士通
同じく
「認知症フレンドリージャパン・サミット」に参加している企業のひとつの「富士通」の担当者の方のお話しです。
・社内ではどのような仕事を
研究所で、研究の企画の仕事をしています。今後10年20年でやるべきことの設計をする役割です。
・認知症になっても安心して暮らせる町を
つくっていくという時、
富士通のような企業ができることは?
「あなたの会社は何ができるのか?」という問いかけではうまくいかないと思います。
どんなことができるかということ自体を
一緒に考えていきましょう
という取り組みの方が、企業にとっても価値があると思います。
つまり、
何に取り組むか
ということ自体を考えることに価値があります。
富士通は大きな会社なのでいろいろなことができますが、勝手に考えて
「これができるから
どうぞ使って」
というのはうまくいかないと思います。
例えばシャンプーをつくった時、その売り場や物自体にばかりにとらわれるのではなく、持ち帰るための交通手段みたいな、いろいろな要素が組み合わさっていることが、たくさんの関係者が集まることで見えてきます。
そして認知症にどう関わるかという時、会社が何をするかということよりも、会社の中の一人一人に何ができるかということが意味のあることだと思います。
富士通という会社にいるからこう、ということではなくて、会社の中でこういった仕事をしているから、これができるという関わり方が、世の中の新しい動きの発見のプロセスとなります。
この講義を受講して
認知症になることを完全に防ぐことや、治すことができない以上は、
認知症になっても
安心して暮らせる街
にすることが必要なようです。
そしてそのために、さまざまな人々が参加することができることが分かりました。
「認知症と生きる」の第1回の講義の中で紹介のあった映画の関係者の方たちも、重要なプレーヤーに当たるんだろうと感じました。
私が見た中では
「折り梅」
という映画がとても印象に残りました。
認知症のことを少しでも多くの人に知ってもらいたいという思いが伝わってくるような映画で、
全国「折り梅」応援団
のみなさんの応援でできた映画のようでした。
女性監督の優しさがよく伝わって来て、認知症の人に優しい社会の在り方とはこうなんだよ、ということを教えてくれているようでした。
最後のシーンで認知症のおばあさんが「家に帰らなければ」と言って帰ろうとした時の、(義理の)娘の言葉がまるで
「教科書の模範解答」
のように鮮やかで、さらにこの映画が2001年の作だったということに、またまたビックリしてしまいました。
参考
(認知症と生きる 地域で支える[15章A] 1取り組み)
(認知症と生きる 地域で支える[15章B] 2認知症カフェ)
(認知症と生きる 地域で支える[15章C] 3安心の条件)
(認知症と生きる 地域で支える[15章D] 4プロジェクト)
(認知症と生きる 地域で支える[15章E] 5サミット)
(認知症と生きる 地域で支える[15章F] 6企業)