認知症と生きる、人とのかかわり② 生活支援・姿勢と動作

放送大学・「認知症と生きる」第10章

  認知症の人とのかかわり② 生活支援
  認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章E] 生活支援・姿勢と動作

講義内容の整理

認知症のケアとして、認知症の人とのかかわりには、生活環境、食事、排泄、入浴、などいろいろ気を付ける場面がたくさんあります。

認知症が徐々に進行して中等度まで進むと、姿勢や歩行などに異常が見られるようになってきます。

さらには見当識障害と言われる障害により、今がいつなのかが分からなくなり、生活リズムにも影響がでてしまいます。

活動と運動のバランスをとった生活のリズムを整えることなども、支援が必要となってきます。

ここでは、

  お風呂
  姿勢と動作
  活動と休息
  衣服

を中心とした話です。

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お風呂でのかかわり

ここでは、「なぜ お風呂にはいらないのか?」に関しての話です。

認知症の人は、

  失認・失行
  実行機能障害

という、見たものがわからないとか、何かをする時の手順が分からない、という状態にあります。

なので、お風呂に入るといっても、その段取りが頭に浮かばないためにお風呂に入ることを断ってしまう、ということがよくあります。

なので、なじみの環境ということで考えれば、いままで使っていた湯おけやせっけん箱、固形せっけん、手ぬぐいなどを準備してから、

  これで入りましょう

と言ってあげることがひとつのきっかけとなることもあります。

姿勢と動作

認知症の進行に伴い、姿勢異常や歩行異常が生じてきます。日常生活でもある程度の介助が必要となります。

さらに重度ともなると寝たきりになり、全ての日常生活に介護が必要となります。

ここから、姿勢と動作が人の生活の基礎をつくっているんだ、ということが分かります。

「劇団いくり」で認知症のおばあさん(和さん)役をされた方にまた登場してもらい、

高齢者の歩く動作を知るために、先生がおばあさんを誘導して、歩いてもらいます。

 ・先生

  「こんにちは」

 ・和ばあ

  「ん?」

 ・先生

  「△△と申します」

 ・和ばあ

  「あっ、△△さん」

 ・先生

  「はい。
   お名前 よろしいですか?」

 ・和ばあ

  「×× 和だよ」

 ・先生

  「和さんって呼んでよろしいですか?」

 ・和ばあ

  「どうぞ」

 ・先生

  「ちょっとね、外に
   ひまわりが咲いてるんですよ」

 ・和ばあ

  「あれ、そうけ?」

 ・先生

  「好きでしたよね
   ちょっと、見に行きませんか?」

 ・和ばあ

  「ああ そうか」

  ・ ・ ・

ということで、和ばあさんに歩いてもらって、高齢者の姿勢と歩行を見せてもらいます。

高齢者の歩行の特徴です。

  立ち上がるとき
  :前傾姿勢にならないと立ち上がれない

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  歩くとき
  :手を振らない

  足はすり足

  小刻みの歩行

  向きを変える時
  :ゆっくり回転する

  バランスが悪く
   転びやすい

といった特徴があります。

こうしたことを理解した上で、高齢者の運動や姿勢を支援する必要があります。

活動と休息

認知症になると、見当識障害のため、時間の感覚が分からなくなってきます。

そのため生活のバランスが崩れやすくなるので、休息と運動のバランスを考慮しながら、生活のリズムを整える必要があります。

そのためには、ひとりひとりの認知症の症状を把握し、生活リズムの調整をすることが大切になります。

認知症の人によく見られることに、

  睡眠障害

があります。これは、

  夜中 起きて
  日中 寝ている

といった状況がそうです。

こんな時は、

  日中、寝かさない

ではなくて、

  日中 適度な休息を入れながら
   活動も取り入れる

といったことが望まれます。

例えば、日中はデイサービスを利用する、さらにそこでゲームなどができればなおいいと言えます。

茨城県にある「デイサービスセンターお多福」での活動の例では、

  テーブルの上に
   ヤクルトの缶を並べ、
  ボーリングのように
   缶を倒すゲーム

をみなさんでやっていました。

  「惜しい!」

  「やった!」

など、みなさんたいへん盛り上がっていました。

こうしたゲームは、

  手を伸ばしたり、
  力を入れたり
  バランスをとったり

という「全身運動」につながっています。

また、このデーサービスセンターお多福では、休息として「足のマッサージ」を取り入れていました。

マッサージを受けた女性の方は

  「う~ん、もったいない」

と、恐縮していました。

この、足のマッサージは

  血栓の予防
  夜間頻尿の予防

にもつながります。

認知症になると、自分で洋服の管理ができなくなったり、選べなくなったりします。

洋服ダンスの中がぐちゃぐちゃになって、他の人に管理してもらうことになるなど、環境が変わってしまいます。
そしてそのことで、今までの好みの服などが着れなくなってきます。

また、季節が分からなくて、着る物を選べなくなったり、失認・失行などから自分で服が着れなくなるなったりします。

こうした衣の点でも、ひとりひとりをきっちりと観察し、その人らしいいでたちができるよう、支援していく必要があります。

参考

  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章A] 生活支援・デイサービスへ行かない!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章B] 生活支援・デイサービスへ行く!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章C] 生活支援・生活環境)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章D] 生活支援・食事、排泄)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章E] 生活支援・姿勢と動作)

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