放送大学・「認知症と生きる」第10章
認知症の人とのかかわり② 生活支援
認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章A] 生活支援・デイサービスへ行かない!
講義内容の整理
認知症の人ができるだけ自立できるような支援の、具体的あり方の勉強です。
その内容は、生活環境、食事、排泄、清潔、姿勢と動作、衣、睡眠と休息という項目です。
認知症の人の中には在宅でデイサービスを利用する人も多いですが、そのためにはまずは認知症の人にデイサービスというものを勧める必要があります。
ここでは、茨城県にあるデイサービスセンターで、認知症と関わりを持つ看護師や介護福祉士の方たちで結成された劇団
劇団いくり
の寸劇を通じて、認知症の人への対応の仕方の一端を紹介する場面です。
デイサービスに行かない
認知症の親を介護をする家族にとって、デイサービスを利用することは昼の自分の時間を持てることでもあり、とても意味のあることです。
また認知症の人本人にとっても、人生を豊かにするという意味でも、さらにはいろいろな活動をすることで認知症の進行を少しでも遅らせるという意味でも、とても意味のあることと言えましょう。
でも、認知症の本人を説得してデイサービスの利用を勧めても、なかなかうまくいかないこともあります。
この寸劇では、いろいろトラブルが多くて大変という、一般的な家庭の様子から始まります。
・場面は茶の間にお嫁さんがいるところへ、腰を曲げたおばあさんがやってきます。
・おばあさんはいつも送迎の車で送ってもらってデイサービスを利用しているのですが、今日はお嫁さんも病院にいくので、デイサービスを休まないよう、おばあさんを説得するつもりです。
・お嫁さんはおばあさんのズボンを直してあげた後、おばあさんに
「今からデイサービスの人が
迎えにきますから」
・するとおばあさん
「今日はどこにも行かねえよ」
・お嫁さんはあわてて、
「今日はちゃんと
予定が入ってたでしょ」
と説得を試みるのですが、おばあさんは、「デイ何とかなんて、行ったことねえよ」と抵抗します。
なんだか、だんだんと雲行きが怪しくなってきました。
・お嫁さんは
「毎日行って、
楽しかったって帰ってくるでしょ」
・おばあさん
「楽しかったら
あんたが行ってきたらいいでしょ」
何とかデイサービスに行ってもらおうと必死なお嫁さんです。
・お嫁さん
「もう9時です
迎えにきますからね」
・おばあさん
「今日はどこにも行かねえって
行ってっぺよ」
「今日は病院に行くんです」、「美容院だったらよくかかってっぺ」、「美容院じゃなくて病院です」なんてムードがますます悪くなってきてしまいました。
・お嫁さん
「とにかく、今日は
デイサービスに行ってもらいます」
・おばあさん
「佳美さんよ
ここ、誰のうちだと思ってんだ」
「俺のことおんだす気かよ」
こうなると半ばケンカです。そしてとうとう
・おばあさん
「何だか、頭が痛くなってきた」
「こんどは腹が痛くなってきた」
・お嫁さん
「寝ないでくださいよ」
そこにデイサービスの職員さんが到着します。
・職員さん
「おはようございます」
「ここはおばあさんのうちなんだから、おばあさんが出て下さい」とお嫁さんにせかされて、おばあさんが職員さんのところに行きます。
・職員さん
「あ、和さん
おはようございます」
・おばあさん
「いや~、
待ってたんだよ~」
・職員さん
「和さん
車 あそこにあるからね」
職員さんは、おばあさんを車に乗せた後戻ってきて、お嫁さんに聞きます。
・職員さん
「何か、ありました?」
・お嫁さん
「毎日 行かない行かないって
大騒ぎなんです」
ということで、職員さんがお嫁さんにアドバイスをくれました。
・職員さん
「デイサービスに行くってことを
和さんには伝えないで、
ゆっくりお茶でも飲みながら
テレビでも見て待ってて下さい
来たら、僕、声掛けますから」
・お嫁さん
「じゃあ、明日
そうしてみます」
ということでした。
そして
次の日
生活支援・デイサービスへ行く!
参考
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章A] 生活支援・デイサービスへ行かない!)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章B] 生活支援・デイサービスへ行く!)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章C] 生活支援・生活環境)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章D] 生活支援・食事、排泄)
(認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章E] 生活支援・姿勢と動作)