認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4、認知症薬の効果

放送大学・「認知症と生きる」第5章

認知症の医学的な特徴④
認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章C] 認知症薬の効果

講義内容の整理

抗認知症薬として、コリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンとがあります。

ですが、そのいずれも認知症を根本的に改善させる薬というわけではなく、ただ、症状を緩和させ、進行を遅らせるという意味でしかないのが現状です。

それでもこれらの薬は一定の役割を果たしています。

ここではこれらの抗認知症薬としてのコリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンの、認知症に対しての効果がどうなのかの話です。

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抗認知症薬の効果

次の図は、コリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンの両者に共通する抗認知症薬としての効果を示した図です。

縦軸は認知機能の程度で、横軸は時間の経過です。

認知症(アルツハイマー系)の人で、治療をしていない人の場合だと、5年、10年、15年という時間の経過とともに、ADL(日常の生活動作)や認知機能などが徐々に衰えてしまいます。(図の緑の線)

そして抗認知症薬を最初から使用した場合、理想的な図で個人差もありますが、症状の進行が緩やかになることが期待されています。

この図のように、抗認知症薬を飲むのが早ければ早いほど、悪化のカーブは緩やかになるのですが、途中から飲んだ場合は、カーブは緩やかにはなるのですが、最初から飲んだ人には追いつきません。

そして、もし途中で薬をやめてしまうと、また元の直線の状態に戻ってしまう場合もあります。

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このように、抗認知症薬は認知症を根本的に直すというわけではありませんが、その進行を何年もの単位で遅らせることができると言えます。

それによって、認知症への適切な対応のための時間を与えてくれると言えます。

例えば、飲まずに発症から5年経った時、例えば

 ・飲まなかった時、
   もの忘れ以外にも、トイレ、入浴など
   一緒に付き添わなければいけない
   24時間見守られる必要がある

一方

 ・最初から抗認知症薬を飲んだ時
   もの忘れが進んだり、
   トイレの失敗もあるにはあるが、
   時々見てあげる、
   目を配ってあげる程度で生活できる

こういう差が抗認知症薬によって起こりうると言われます。

参考

  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章A] 治療薬の概要)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章B] 中核症状薬)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章C] 認知症薬の効果)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章D] 認知症の進展)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章E] 周辺症状薬)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章F] 非薬物療法)
  (認知症と生きる 認知症の医学的な特徴4[5章G] 周辺症状と薬物療法)

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