認知症と生きる、人とのかかわり② 生活支援・デイサービスへ②

放送大学・「認知症と生きる」第10章

  認知症の人とのかかわり② 生活支援
  認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章B] 生活支援・デイサービスへ行く!

講義内容の整理

前回

  生活支援・デイサービスへ行かない!

で朝、大変な思いをしてデイサービスに送り出したお嫁さんですが、迎えに来た職員の人に

  朝はゆっくりお茶でも飲んで
   待っててください

  僕が来たら
   声をかけますから

とアドバイスを受けていました。

お嫁さん、次の日はどうだったのでしょうか。

これは、認知症と関わりを持つ看護師や介護福祉士の方たちで結成された

  劇団いくり

の寸劇での話です。

認知症のお年寄りのケアを分かりやすく教えてくれます。

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デイサービスにすんなり行った!

前の日の朝、デイサービスに行く行かないで大騒ぎになったその翌日、いつものようにお嫁さんのいる茶の間に、おばあさんが、

・おばあさん

  「あの、佳美さんよ
   ズボン 見てちょうだい」

なんて言いながら入ってきました。

今日はおばあさんをせかせるようなことは言いません。代わりに

・お嫁さん

  「じゃあ、
   お茶でも飲みますか」

と言いながら座ってもらってお茶を出すと、茶柱が立っていました。

・おばあさん

  「あれ、佳美さんよ
   茶柱立ってるわ」

「あんたが飲みな」、「いえ、おばあちゃんどうぞ」という具合で和気あいあいとして、

・お嫁さん

  「今日は テレビでも
   つけてみる?」

いい感じで朝を迎えていたようでしたが、おばあさんが何故か泣き出してしまいました。

・おばあさん

  「佳美さんにいろいろ
   迷惑かけてっから、
   泣けば許してもらえっかと…」

そこにデイサービスの職員さんが迎えにやってきました。

・職員さん

  「おはようございます」

・お嫁さん

  「誰か来たみたいよ
   おばあさん、出てちょうだい

   私、片付けがあるので」

職員さんがもう一度、

・職員さん

  「おはようございます
   お迎えにきました」

・おばあさん

  「あれ、やだ、
   おはようございます
   待ってたよ」

どうやら今日はすんなりとデイサービスに送り出せたようでした。

職員さんも「よかった」と言ってくれました。そして、「無理強いはしないように」とも言ってくれました。

お嫁さんの解説

ひと段落したところで、お嫁さんが見ていた人に、認知症の人のことを解説してくれました。

認知症になると

  「実行機能障害」

になるんだそうです。

それは、

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  ・準備
   ・段取り
    ・組織立て
     ・実行

これがうまくいかなくなるんだそうです。

これは、この寸劇を見る場所に来るまでにも

  だれだれと待ち合わせしたから、
  何時までにお化粧をして
  朝ごはん食べて・・・

みたいにして、ここまでやって来た。こういうのが実行機能と言われるようなものです。

これがうまくいかなくなるので、1時間ぐらい前から、

  「今日は病院に行くから
   ちゃんと用意しといて」

なんて言われると、何をどうしたらいいか分からなくなって、「おっかない気持ち」になっちゃいます。

なので、頭が痛い、お腹が痛いなんて理由をつけて、外に出たがらなくなるんだそうです。

なのでこんな時は、お茶でも飲んでゆっくりして、職員さんが来た時にに声をかけてもらうのがいいということです。

職員さんには、半年もの間この家に通ってもらいました。

そしたらおばあちゃんも、あの人のいるところなら行ってみるか、といってデイサービスに通うようになったんです。

認知症ケア提供者の責任

(寸劇は終了です)

認知症ケアに関しては、ケア提供者自身のありようがとても大事です。

認知症は記憶障害、見当識療法などから、安心、安全な生活が十分にはできず、混乱に陥る人も多数います。

見当識障害とは、

  今は いつ?
  ここは どこ?
  あなたは だれ?

の不思議の世界にいることです。そして、この順番で進みます。

その世界で精一杯生きている人に、ケア提供者側が自分たちの規範(自分たちの常識)で対応することも多くあります。

例えば時間の分からなくなった認知症の人が、「お腹が空いた」という時、「3時まで待つ」というケア提供者側の規範を基に、認知症の人を責め、追い込むことは、

認知症の人を不安、混乱、不穏にさせ、症状をさらに悪化させることにつながります。

  認知症の人のありようは

   ケアの鏡

と言われます。

つまり、

  認知症のケアに当たる人の態度が、

   認知症の人の症状に現れる

そしてそのことが再び、ケア提供者側に跳ね返ってくるということです。

この回を受講して

ということでしたが、認知症になってもの忘れが出てきても、人の好き嫌いや嬉しい悲しいの感情は覚えているみたいです。

認知症の人に対して、正しい対応をすれば関係もよくなり、本人にとっても介護する方にとっても、いい結果につながるんだということを感じた回でした。

参考

  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章A] 生活支援・デイサービスへ行かない!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章B] 生活支援・デイサービスへ行く!)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章C] 生活支援・生活環境)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章D] 生活支援・食事、排泄)
  (認知症と生きる 認知症の人とのかかわり②[10章E] 生活支援・姿勢と動作)

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